2010年10月2日土曜日

循環型の植物工場

北海道にしかない資源といえば、何を思い浮かべるだろうか。帯広市の土谷特殊農機具製作所の土谷紀明社長(69)は、厳しい寒さに目をつけた。冬の寒さを資源として蓄積し、夏の除湿や冷房に利用できないか。そんなアイデアをもとに、カーリング場や植物工場などの事業展開を図っている。
帯広市の郊外、国道236号沿いにあるカーリング場「カールプレックスおびひろ」 ロビーにはひんやりとした空気が漂う。さらに奥へと進んで、4シートがあつらえられたリンクに足を踏み入れると、そこは真冬の世界。
平成19年12月にオープンしたこのカーリング場の除湿、換気、冷房をまかなっているのが、アイスシェルターという技術だ。建物内には氷の入ったたらい1000枚が積み重ねられた高さ8メートルの貯蔵庫があり、気温6度、湿度80%というカーリングに最適な環境を一年中、提供する。
土谷社長の父親が昭和8年に設立した土谷特殊農機具製作所は、もともと牛乳容器の製造、販売から始めた会社だ。現在も搾乳機やサイロなど酪農関係の機械やシステムを販売しているが、2代目の土谷社長は北海道ならではの資源を使って新しい商品の開発ができないかと考えた。
「北海道にしかない地域資源というと、寒冷気候だろう、と。雪は本州にもあるが、寒さは北海道だけですからね。先進技術は世の中にいっぱいある。それらをうまく焼き直して、地域の資源を生かす。『シンク・グローバリー、アクト・ローカリー(世界に目を向けて地域で活動する)』なんです」と土谷社長。
アイスシェルターの技術は二十数年前から目をつけていたというが、ここにきてようやく実用に向けて動き出した。カーリング場と並んで現在、同社が取り組んでいるものに植物工場がある。
本社敷地内に40フィート(約12メートル)のコンテナを置き、ここで現在、リーフレタスやコマツナ、ミズナなどの栽培を実験している。コンテナの隣には、やはり氷の部屋があり、パイプでこの部屋を一回りすることで、27度の空気が15、16度になって戻っていくという。
今夏は異例の猛暑ということもあって、氷の量が少なく、溶けかけた氷を再び凍らせるために電気を使用しているというが、「これぞハイブリッドです」と土谷社長は屈託がない。
ほかにも米や野菜の長期冷蔵、保育園の冷房システムなどにも応用しているという。
さらに、土谷社長がもう一つの「地産地消エネルギー」として注目しているのが、牧畜牛など家畜の排泄(はいせつ)物だ。これも北海道が日本で一番多いという。
「今は堆肥(たいひ)にしたりしているが、まだまだ有効利用に至っていない。だが、これを液肥にすれば化学肥料がいらないし、糞尿(ふんにょう)処理で発生するバイオガスからは電気や熱を供給できる。さらにバイオガスから出る二酸化炭素は、植物工場に利用することができます」。バイオガスプラントは、すでに平成17年から士幌町で稼働している。
最終的にはバイオガスとアイスシェルターによる循環型の植物工場を造りたいと話す土谷社長。「地域の資源を活用することで、地球温暖化の防止にも役立つんです」と目を輝かせた。69歳にして夢を追いかけている感じですね。普通の感覚から言ったら嫌なものと思えるものを逆手にとって良きものに展開していく所が良いですね。是非北海道から日本を元気にして欲しいですね。

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