多彩なしぐさと高度な語り口が求められる落語の公演に、大阪大などが共同開発した人型ロボットが世界で初めて挑戦する。開発陣はこれまでにもロボットと人間が共演する演劇を手がけており、今回は「一人芝居」ともいえる落語を上演。生活介助といった機能的な役割だけでなく、ロボットが人間のコミュニケーションの相手となる可能性を見据えた意欲的な実証実験となりそうだ。
「ええか、うどんちゅうのはなあ、だしが肝心なんや」。古典落語の定番「時(とき)うどん」のせりふを、人型ロボットが中性的な声で表現する。
監督と脚本・演出を担当するソフトウエア開発会社「イーガー」(大阪市北区)の会長、黒木さんは「1人3役をこなせるよう、声の高さや調子を切り替えるのが難しかった」。桂枝雀さんらのDVDを観賞し、それらを基にアレンジした。
ロボットは三菱重工業製の「wakamaru(ワカマル)」で、高さ1メートル、直径45センチ。イーガーと阪大の石黒教授(基礎工学研究科)が実証実験の一環で、23〜24日に大阪府池田市で開かれる第2回社会人落語日本一決定戦に出展する。
同社と石黒教授はこれまで阪大教授の劇作家、平田オリザさんとともに、ワカマルと人間の俳優が共演するロボット演劇プロジェクトを進めてきた。劇を通じて、人間とロボットとが日常生活でコミュニケーションする近未来の姿を提示。今年8月には、名古屋市で開かれた国際芸術祭で、世界で初めて公演の舞台に立った。
黒木さんは「演劇と落語は似て非なるもの。いわば一人芝居」と語り、ロボットだけで観客と対峙(たいじ)しなければならない落語の難しさを強調。落語上の動きが観客に的確に伝わるかや、ロボットが話しかけることでどれだけ人の興味をひけるかなどを検証する。
課題の一つはうどんを食べるしぐさ。首を傾けながら、はしに見立てた扇子を持つ右手を上下に動かすのと同時に、左手もはちを持つ格好でわずかに上下させるのがポイントだ。「ズズッ」とうどんをすする音も実際の音声を録音して使用する念の入れようで、イーガーはさらに細かい動きまで忠実に模写できるよう試行錯誤を続けている。
ワカマルの公演は24日午後3時から4時半の間に2回、市民文化会館アゼリアホールで行われる。ロボットが人間のコミュニケーションの相手になれば様々な応用が考えられますね。是非上手くいくことを期待したいですね。お近くの方は出掛けてロボットによる一人芝居を御覧になったらいかがでしょう。
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