400年の歴史があり、旧国鉄・今庄(いまじょう)駅(南越前町)の立ち食いそばが評判を呼んで有名になった「今庄そば」。宿場町や鉄道の要衝として栄えながら今は過疎化が進む今庄の町で、脈々と育まれたそば文化を守ろうと、地元の「おばちゃん」たちが作ったそば販売会社が設立10周年を迎えた。
福井県のほぼ中央に位置する南越前町今庄。福井と滋賀を結ぶ国道365号沿いに、手作りそば店「おばちゃんの店」がある。無添加の今庄産そばだけを使い、製粉、製めん、調理など全作業で「100%地元産」を貫いている。
店を経営するのは、同じ建物内に事務所を構える有限会社「ほっと今庄」。2000年7月、代表取締役の川渕さんら地元農協の女性有志が出資し、立ち上げた。そばの製造加工を中心に、「つるし柿」など特産品の販売も手掛ける。12人の社員は全員、今庄出身の40〜78歳の主婦。川渕さんは「愛情いっぱいの商品づくりを目指しています」と話す。
今庄では約400年前からそば栽培が始まり、かつては「そばが打てない嫁は半人前」と言われた土地柄だ。祝いごとや来客時には家人がそばを打ってもてなした。また江戸期は宿場町、昭和前期には国鉄の町として栄えたが、北陸トンネル開通(1962年)で特急列車が通過すると共に、町は衰退を始めた。
一方、20年前ごろから、そばを軸にした町おこしが始まった。旧町役場がそば農家に補助金を出したり、そば打ち体験施設を作ったりと、町全体でそば文化を守る機運が芽生えた。「ほっと今庄」が生まれたのは、そんな流れの中からだった。
川渕さんら農協の料理グループは95年、そばと季節の食材を使った会席料理を考案し、旧国土庁「華ひらくそばの文化賞」を受賞した。これを機に農協から起業を打診され、会計などの事務や、製粉や加工の習熟などに4年間の準備期間を経て、会社の設立にこぎつけた。
川渕さんは「農業と家事しかできなかった素人集団。慣れない仕事ばかりだったけれど、そばの文化を守る使命感だけが頼りでした」と振り返る。「おばちゃん」ならではの温かい心遣いや節約術を随所に生かし、事業は軌道に乗った。週末はツーリングの若者や観光客で店は混雑する。
「ほっと今庄」の名に、お客さんに安らぎの場を提供したいという願いと、そばへの熱い思いの双方を込めた。社員たちは「10年続けられたのは、今庄そばを好きになってくれたお客さんのおかげ」と口をそろえ、川渕さんも「おばちゃんパワーと自慢の今庄そばで、これからもお客さんを元気にさせたい」と話す。
是非おばちゃんPowerでお客さんは元より地元地域や同じような境遇の地方にも元気を与えて欲しいですね。
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