医薬基盤研究所と大阪大学は12日、アスベスト(石綿)などが原因で発症するがんである悪性胸膜中皮腫の遺伝子治療を開発、動物実験で効果を確かめたと発表した。特定の遺伝子を胸腔(きょうくう)内に導入して、がん細胞の増殖を抑える。阪大などで臨床研究を実施する計画で、10年以内の実用化を目指す。
医薬基盤研の仲哲治・創薬基盤研究部長と阪大の水口裕之教授らの成果で、欧州がん学会誌(電子版)に掲載された。
研究チームは細胞内で様々な情報伝達を抑えている遺伝子「SOCS3」に注目。中皮腫の細胞を調べたところ、この遺伝子が細胞増殖を止めるだけでなく、がん抑制遺伝子の量も増やすのが分かった。
胸腔内に中皮腫細胞を植えたマウスで実験。SOCS3を中皮腫細胞に遺伝子導入すると、がん増殖が抑制できた。通常なら50日以内に死亡するマウスが、治療で生存期間が1年以上延びたという。今後、サルなどで安全性を確認。倫理委員会で認められれば阪大や大阪府立呼吸器・アレルギー医療センターで臨床研究を始める。
中皮腫はアスベストを吸い込んでから30~40年後に発症する。年間の死亡者は1000人を超え、増加傾向にある。抗がん剤や放射線などで治療するが根治は難しい。10年と言わず早急に実用化に向けて研究に拍車をかけて欲しいですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿