2010年7月31日土曜日

100円商店街

“大阪の台所”として名高い黒門市場(大阪市中央区)で31日、商店街全体を100円ショップに見立て各店舗が自慢の商品を100円で販売する「100円商店街」が実施された。消費不況が続くなか、商店街の活性化が狙い。本マグロの切り身や3500円相当の高級メロンなどが100円で売り出され、普段の週末を大幅に上回る大勢の買い物客でにぎわいをみせている。
「100円商店街」に参加したのは、黒門市場全店舗の約7割にあたる108店。新鮮な鮮魚や果物などを100円で販売し、通常時の約3倍にあたる5万人の集客を目指す。黒門市場商店街振興組合の宮本敏男理事長は「このにぎわいを一過性のものにしてはならない」と述べ、各店は次回の来店時に使える割引券やクーポン券を配布し、リピーターの確保に努めた。
黒門市場はかつてホテルや飲食店への卸しが中心だったが、不況の影響で注文が減り、一般客も低価格路線のスーパーなどへ流れがち。今回、大阪商工会議所と「100円商店街」を共催したのは、そんな閉塞(へいそく)感を打破したいという各店主の思いから実現した。 
100円商店街は、全国40カ所以上で実施されており、関西では4月に行われた千林商店街(同旭区)で通常時の約2・4倍、京橋中央商店街(同都島区)で約2・3倍の集客効果が確認されている。
今回は全国的に有名な黒門市場での開催だけに、大商中小企業振興部の長谷川さんは「通常時の2〜3倍の集客が見込める」と話している。是非閉塞感を打破して日本経済や国民を元気にして欲しいですね。全国各地で是非頻繁に開催して欲しいですね。

科学者の遊び心

60億キロの宇宙の旅から6月に帰還し、カプセルなどの展示が今月30日に始まった小惑星探査機「はやぶさ」。その「はやぶさ」の開発に携わった宇宙航空研究開発機構(JAXA)のプロジェクトチームに、帰還翌日の6月14日に佐賀県嬉野市嬉野町にある創業142年の老舗(しにせ)・井手酒造が、自社の酒「虎之児(とらのこ)」を祝い酒として贈っていた。そこには帰還を首を長くして待ち続けた7年越しの縁があった。
2003年5月、「はやぶさ」の打ち上げ準備が進んでいる中で、井手酒造に1枚のファクスがJAXAから流れてきた。「貴酒造が造っている『虎之児』に使われているラベルを『はやぶさ』の性能計算書(飛翔実験計画書)の表紙にしたいので了解願えないだろうか」とあった。人工衛星や探査機などを打ち上げる際、JAXAには日本酒や焼酎のラベルを計算書に「しゃれ」で表紙にする慣例があるという。極度の緊張状況に携わるロケット打ち上げ隊員をリラックスさせるためだ。
「はやぶさ」は、日本のロケット開発の父といわれる故・糸川英夫博士の名にちなんで命名された小惑星「イトカワ」に近づき、地球の軌道に近いイトカワの表面から物質を採取、再び地球に戻るのが使命。プロジェクト関係者は、「虎は千里往(い)って千里還(か)る」「虎穴に入らずんば虎児をえず」「虎の子(大切なもの)」の思いを「はやぶさ」に託そうと、酒「虎之児」を選んだという。井手酒造は申し出を即、了承した。
「虎之児」のラベル上に張られる通称山型には本来、「清酒特撰(とくせん) 原材料名 米・米こうじ・醸造アルコール・糖類」と書かれるが、届けられた計算書の表紙には「小惑星 近傍探査 イオンエンジン 比推力3000秒以上 材料名 キセノン」とあった。
また、ラベルは虎之児のロゴマークと「此(この)機宇宙翔千里」「回収は4年経(た)ってから 開栓には十分注意して下さい」の文字が本物そっくりに作られていた。当時は07年に地球に帰還し、「イトカワ」の岩石類を回収予定だったからだ。
様々な困難を乗り越え7年後に「はやぶさ」が戻ると、再び、新しいラベル使用の申し込みと「虎之児」12本の注文があった。文字は「此機宇宙翔百億里」「開封は7年過ぎてから」に変更されていた。井手酒造の井手洋子社長は「小さな酒蔵を探していただいてうれしい限りです。こちらからも『はやぶさ』への尊敬と感謝の念を込め、大吟醸酒に新しいラベルを張り、贈らせていただきました」と言う。
JAXAのプロジェクト責任者、川口淳一郎教授は「大願成就なった。虎之児は我々の決意にうってつけの酒でした」と話した。良い話ですね。科学者の遊び心が感じ取れる内容ですね。大きなプロジェクトの背後に様々なエピソードが隠されているんでしょうね。

2010年7月30日金曜日

胃かいようの発症や悪化にかかわる酵素

胃かいようの発症や悪化にかかわる酵素を、反町洋之・東京都臨床医学総合研究所参事研究員らのチームが発見し、29日付の米科学誌プロス・ジェネティクス(電子版)に発表した。酵素を作る遺伝子の特徴を調べることで、胃の弱い人を事前に把握することが可能になるため、予防や治療法開発に道を開くと期待される。
チームは、胃粘膜表面の粘液分泌細胞に多く存在する2種類の酵素に注目。これらの酵素が働かないマウスを作り、ウイスキー程度のアルコール溶液を飲ませると、通常のマウスより胃粘膜の損傷が大きくなることに気付いた。
また、二つの酵素の働きを調べたところ、二つが一体となって胃粘膜を保護し、損傷があると粘液を多めに出したり、新しい細胞を供給する「修復」に携わっていることをうかがわせた。いずれの酵素も、酵素を作る遺伝子の配列の一部が異なると機能が失われた。こうした遺伝子のタイプの人は発症しやすいとみられる。
厚生労働省によると、国内の患者数は約43万5000人。ピロリ菌や抗炎症剤の副作用で粘膜が傷つけられ、ストレスやアルコールといった刺激で発症、悪化するとされる。反町さんは「2種類の酵素がこれらの要因に加え、発症しやすさや、悪化するかどうかの鍵を握っているのではないか」と話す。予防や治療法の方法が早く見つかるといいですね。

臓器を形成する働きのある遺伝子を発見

唾液(だえき)腺や肺などの臓器を形成する働きのある遺伝子を、大阪大の阪井丘芳教授と米国立衛生研究所の共同研究チームが発見した。多くの臓器は、上皮組織が枝分かれを繰り返すことによって形成されており、発見した遺伝子は枝分かれを誘導する作用がある。30日付の米科学誌サイエンスに発表した。
研究チームは、マウスの胎児から唾液腺細胞を採取。唾液腺の上皮組織のうち、枝分かれのある部分とない部分の細胞を取り出して比較した結果、枝分かれのある部分には遺伝子「Btbd7」が強く発現していることが判明した。唾液腺にたんぱく質「フィブロネクチン」を加えるとBtbd7が活性化し、上皮組織の枝分かれが加速することも突き止めた。
阪井教授は「Btbd7は枝分かれに重要な役割を果たしており、臓器を形作る上で必要。再生医療に応用できる可能性がある」と話している。どんな臓器を形成する上でもBtbd7が影響を与えるんでしょうかね。任意に臓器を再生する時には何を決定すれば肺になったり唾液腺になったりするんでしょうかね?多くの疑問な点がありますが本当に今の医学は本当にすごいですね。

1年中いつでも打ち上げられる!!

日本の主力大型ロケット「H2A」が、来年4月から1年中いつでも打ち上げられることになった。
これまでは種子島宇宙センター(鹿児島県)周辺の漁期に配慮し、夏と冬の計190日間に打ち上げを限定していたが、国側と鹿児島など5県の漁業関係者が29日、この制限を撤廃することで合意した。衛星打ち上げを受注するうえでの大きな障害が解消され、国際競争力が高まると期待される。
打ち上げの際はロケットの進路にあたる海域を進入禁止にするため、漁の最盛期を避けていた。しかし、H2Aの事業が国から三菱重工業へ2007年に移管され、衛星打ち上げの受注獲得が重要性を増した。そこで、文部科学省と宇宙航空研究開発機構などが、地元と交渉を続けてきた。
小型ロケットを打ち上げる内之浦宇宙空間観測所(同)についても、同様に制限が撤廃される。同省は、地元の漁業関係施設などへの補助を、現在の年12億円から拡充する方針。
H2Aは11回連続で成功し、成功率は94%と海外の主力ロケットに見劣りしない。1機当たりの打ち上げ費用も100億円弱で、海外企業と対抗できる水準になっている。だが、受注はこれまで、11年に打ち上げ予定の韓国の観測衛星1件にとどまっている。
三菱重工業宇宙機器部の浅田正一郎部長は「期間の制限のために商談のテーブルにすら着けないことがあったが、大きなハードルがなくなる。受注増を目指したい」と話している。世界に対抗して宇宙ビジネスを展開していく上で期間的な制限の撤廃は大きいですね。是非大きな契約を取って技術立国日本を元気にして欲しいですね。

2010年7月29日木曜日

子宮を失った女性に出産の道を開く技術として期待

血管をつなぐのが難しい子宮を、サルから一度取り出して再び移植することに、東京大などの研究チームが成功した。
横浜市で開催中の日本受精着床学会で発表した。将来、病気などで子宮を失った女性に他人から移植し、出産の道を開く技術として期待される。
三原誠・東大助教らは、メスのカニクイザル2匹から子宮を摘出し、2時間後に元の体内へ戻した。1匹は間もなく死んだが、もう1匹は5か月後の今も生理があり、健康状態は良好。8月には受精卵を移植して妊娠、出産できるかどうかを調べる。9月には他の個体からの「他家移植」も実施する予定だ。
子宮の動脈や静脈は細いため、移植の際、つなぎ目に血栓ができやすい。サウジアラビアで2000年ごろ、人間の子宮移植が行われ、失敗した。三原助教は、新しく開発された微小な手術針で、問題を解消した。生命の誕生に直接関与する部位ですから倫理的な問題をクリアにして欲しい気もしますね。それでも大きな前進でしょうね。

科学技術の推進が重要

先端技術大賞の授賞式では、小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネージャである宇宙航空研究開発機構(JAXA)の川口淳一郎教授が記念講演を行った。 会場の看板に「独創性を拓(ひら)く」とあるが、「はやぶさ」もまさに世界初をねらったものだ。
構想は30代のとき。それまで宇宙は片道飛行だったが、資源の利用などを目指したら往復となる。アポロは月だが、地球の引力圏の外にあるもので小惑星となった。
日本の宇宙開発は、あまりにも米・旧ソ連と比べ遅れている。外国の機関と勉強会を開いて、ビギナーにもできそうなものとして小惑星とのランデブー(接近飛行)を構想していたが、なかなか実施に移せなかった。NASA(米航空宇宙局)はそれをいとも簡単にやってしまった。
宇宙開発は先進的とみられるが違う。企業の人も分かるだろうが、試作品でクレームが出ないことはまずない。それで実験をやるので、どうしても保守的にならざるを得ない。
でも、私どもは保守的になるのはどうしても嫌だった。それで、「はやぶさ」のように世界初をねらった。NASAでは「はやぶさ」のようなものは出せない。
世界初で、全く試みられていない、テキストも論文もない最初の道だった。高いところに登って展望すると技術の水平線がみえてくる。その観点で宇宙開発のみならず、科学技術で、みなさんはテキストを作るようなことをしてほしい。
菅総理に何が良かったか聞かれたが、「技術より根性」と言った。矛盾するかもしれないが、スピリッツ(意志)とペイシェンス(忍耐強さ)は重要。「はやぶさ」が行方不明になったとき、私どもは神頼みするようになった。「運を天にまかすのか」などといわれたが、神頼みは、きっかけを見失わないためにも必要だ。運や機会をとらえるのも実力のうち。みなさんの受賞も機会をつかんだ結果だろう。
投資を回収するには10年やそれ以上先になる。そういう長い目の投資でこそ、大きなリターンが得られる。政府にもご配慮いただければありがたい。
日本が元気を出すには科学技術の推進が重要だ。われわれも自信と希望をもてるよう努力する。みなさんも努力していただきたい。
本当にそう思いますね。日本を元気にするには科学技術の進歩が欠かせないでしょうね。同時に長いスパンで物事を考える事も必要でしょうね。

2010年7月28日水曜日

赤ワインなどの飲用酒に漬けた後に冷やすと超伝導状態

鉄を含む化合物の一種を赤ワインなどの飲用酒に漬けた後に冷やすと、電気抵抗がゼロになる超伝導状態になることを、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の研究チームが突き止めた。
熱を帯びずに大量の電流を流せる超伝導のメカニズム解明に貢献する成果。8月1日から米ワシントンで開かれる国際会議で発表する。
実験に使われたのは鉄、硫黄、テルルの化合物。このまま冷やしても、超伝導にはならないが、研究チームは何らかの化学処理をすれば超伝導になると予測。エタノール溶液のほか、ワイン、ビール、日本酒、ウイスキーに浸し、電気抵抗を測定した。
その結果、すべての場合で絶対温度8度(零下265度)に冷やせば超伝導状態が生じることを確認。超伝導になった化合物の割合は、赤ワインに浸した場合が最高で、エタノール溶液の7倍。白ワインはエタノール溶液の5倍だった。
研究チームは、酒の味などをつくる不純物が化合物の結晶に入り込んだ結果、超伝導になった可能性があると見ている。何となくアバウトな研究ですね。再現性はあるんでしょうかね。どんな不純物が影響を与えているのかを確認すれば効率的に超伝導状態を再現出来そうですがね?研究自体は楽しいのかもしれませんね。

2010年7月27日火曜日

ロシアチョウザメの人工ふ化に成功

北海道大学の足立伸次教授(魚類繁殖学)の研究グループが、高級キャビアがとれるロシアチョウザメの人工ふ化に成功した。国産キャビアの安定供給に役立てたい考えだが、産卵するまで10年以上かかるため、当面は稚魚の個体数確保などに力を入れる。
新潟県内水面水産試験場から雄雌計10匹を譲り受けたグループは6月、雌1匹から卵を取り出して人工授精。その後5千匹以上がふ化し、26日時点で体長3~4センチほどに育っている。
成長すると体長約2メートルになるロシアチョウザメは、カスピ海や周辺河川などに生息。キャビア目当ての乱獲や環境変化で個体数が減少した。
足立教授によると、ロシアチョウザメは生後2カ月から1年の間に性別が決まるため、今後は遺伝子を調べるなどして性決定メカニズムを解明し、雌を増やす技術開発に取り組む方針。足立教授は「研究を続け、安定したキャビア生産につなげたい」と話している。まだまだ長い年月が必要でしょうが安定したキャビア生産を目指して下さい。

より質の高いiPS細胞を作製

従来とは違う因子を使い、より質の高い人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作製できることを、京都大学iPS細胞研究所の中川誠人講師(幹細胞研究学)らの研究チームが世界で初めて解明し、27日付(日本時間)の米科学誌「米国科学アカデミー紀要」(電子版)に掲載された。
iPS細胞はこれまで、他の遺伝子を働かせる機能がある「cーMyc」などの因子を体細胞に組み込むことなどで作製。同因子はiPS細胞の分化を抑制するなどの働きをする一方、同細胞を組み込んだ部位に腫(しゅ)瘍(よう)ができやすいという問題があった。
そこで研究チームは、同因子と同じ機能をもつ因子「LーMyc」を使って新たなiPS細胞を作製。両iPS細胞を組み込んだマウスを用意し、経過を観察した。
この結果、「cーMyc」を使ったiPS細胞をもつマウスは1年間で全体の約7割が死亡し、そのうち半分以上が腫瘍を発症。一方、「LーMyc」では1年間で約1割の死亡率にとどまり、腫瘍の発症はほとんどみられなかった。
研究チームは、「LーMyc」はほかの遺伝子へ働きかける力が弱く、iPS細胞のがん化する遺伝子が発現しにくくなったと推測した上で、「研究を進め、臨床試験に応用できるiPS細胞の開発に努めたい」と話している。人為的に作り上げたものには様々な欠陥が潜んでいるものです。ましてや生きた細胞となると考えられない欠陥も出てくることでしょうがそれらを一つ一つクリアーして実用化に向けて進んで欲しいですね。

2010年7月26日月曜日

巨大地震のメカニズムに迫る!!

30年以内の発生確率が60〜70%程度とされるマグニチュード(M)8・1前後の東南海地震。震源域の紀伊半島沖で今月、地球深部探査船「ちきゅう」によるプレート(岩板)境界に向けた掘削作業が始まった。日米主導で海底下の巨大地震断層の岩石試料を直接採取し、坑内に観測装置を設置する世界初の試み。深海底に張り巡らせた地震・津波観測監視システム「DONET」も並行して稼働を始めた。発生予測の高精度化や被害軽減などを目指し、強力な布陣で巨大地震のメカニズムに迫る。
フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む太平洋岸には東海、東南海、南海地震の震源域が連なり、M8クラスの海溝型巨大地震が過去に何度も日本列島を襲ってきた。
3つの地震は相互に関連しており、過去数百年の事例などから最初に東南海地震が発生し、南海、東海地震へと連動していくと考えられている。
そこで東南海地震に的を絞り、震源域の紀伊半島沖熊野灘の地下を詳細に調査するため2007(平成19)年に始まったのが、日米主導による統合国際深海掘削計画(IODP)の「南海トラフ地震発生帯掘削計画(南海掘削)」だ。
南海掘削は4つのステージに分けられ、日本は、科学船として世界最高の掘削能力を持つちきゅうを投入。今月15日から始まったステージ3でプレートの境界にあたる巨大地震断層への掘削作業を始めた。8月までの航海では、水深約2キロの海底にガスなどの噴出防止装置を設置。船底から降ろしたパイプと接続し、海底下約800メートルまで掘り抜く予定だ。
掘削開始地点はプレートの沈み込みによるひずみが蓄積しやすく、地震発生の引き金と目される固着部分(アスペリティー)の真上。海底下約6〜7キロ付近のプレート境界面には13〜14年ごろに到達するという。震源断層の部分を含むように、直径約7センチ、高さ100〜200メートルの円柱状の岩石試料を採取する。
岩石試料は組成などを分析するだけでなく、地震発生の再現実験に使用。1千気圧以上の地下の圧力環境を模した大水槽に試料を入れ、地殻のひずみに相当する圧力を上下から加える。圧力を徐々に強めていき、試料が真っ二つに割れる“地震発生の瞬間”を見届ける計画だ。
ちきゅうが掘削する穴は1つだけ。「貴重なサンプルを壊すことになるが、生きた断層を知るには断層自体の破壊強度などを調べることが最も大事」と海洋研究開発機構・地球内部ダイナミクス領域の木下正高・技術研究主幹は力を込める。
一方、DONETは計20カ所の観測拠点で構成。震源域の深さ約2〜4キロの海底に高精度の地震計や津波を探知する水圧計などを分散配置し、総延長約450キロの光ケーブルでつないでリアルタイムのデータ取得を行う。
既に基幹ケーブルは設置済みで、今年3月に最初の1カ所が稼働。今年度中に20カ所すべてを稼働させる予定で地殻活動の詳細解析を行い、緊急地震速報の高度化にもつなげる。
海洋機構地震津波・防災研究プロジェクトの高橋成実サブリーダーは「地震研究は新たなステージに入った。今後は南海地震の震源域にもDONETを広げ、東南海地震との連動性評価のレベル向上につなげたい」と意欲を燃やす。高精度の予測が出来るようになると良いですね。そして地震発生のメカニズムの解明されることを期待したいですね。

2010年7月25日日曜日

宝の島プロジェクト

発泡スチロールの漂着ごみを燃料に変えて再利用する国内初の実証実験「宝の島プロジェクト」が、沖縄県竹富町・鳩間(はとま)島で進んでいる。人口51人の小さな島の大きな挑戦が注目を集めている。
実験は社団法人・日本海難防止協会が日本財団の支援を受け、昨年11月にスタート。燃料になるのは、漂着ごみの約4割を占める発泡スチロールだ。竹富町の他の島では発泡スチロールを石垣市の施設まで運んでごみとして処理しており、1立方メートル当たり約1万2000円の処理費がかかっている。
鳩間島では、海岸近くに設置した油化装置で、漂着した発泡スチロールを加熱、分解して可燃性のスチレン油を抽出。それに軽油を混ぜてディーゼルエンジンやボイラー、焼却炉の燃料にしている。油化装置の燃料にもごみを使っており、処理費が節約できる。発泡スチロール1キロ当たり約1リットルの油がとれるという。設備費など総事業費は5500万円。
回収を担当するのは、島民らでつくるNPO「南の島々(ふるさと)守り隊」(11人)など。月1回程度、海岸の清掃を行っており、一回に約10立方メートルも集まるという。メンバーの大城さんは「やっかいもののごみを資源化し、宝の島へ。島おこしにもつなげたい」と意気込む。
同様の装置は、長崎県・対馬も導入しており、8月から本格稼働する。日本海難防止協会は、移動式油化装置の開発も計画しており、大貫伸(しん)・主席研究員は「漂着ごみは景観だけでなく、環境への影響も深刻。国内外に鳩間島方式が広がれば」と期待している。是非宝の島にするべく頑張って下さい!

2010年7月24日土曜日

3次元(3D)映像技術で手術者の視点再現

脳外科手術で使う顕微鏡に3次元(3D)映像技術を使い、手術者の視点を再現できる装置を、東京医科大の秋元治朗准教授(脳神経外科)と三鷹光器(東京・三鷹)が開発した。
学生の教育や手術内容の検証などへ応用が期待できる。話題の3Dを手術用顕微鏡へ応用したのは世界で初めて。
脳外科手術の多くでは光学顕微鏡を使うが、手術者が見ているそのままを、助手が見ることはできない。教育用にビデオ撮影するものの、2次元のため、立体感や奥行きを正確に把握することはできなかった。
新しい装置は、顕微鏡に2台のカメラを組み込み、映像を3D形式に変換。助手用モニターと録画装置に送信する。記録映像は、専用眼鏡を装着して見る。秋元准教授らはこの装置で、既に十数件の手術を行った。また、東京女子医大にも1台導入されている。学生や後進の指導にはかなり役立つのではないでしょうかね。

液晶装置による姿勢制御

宇宙航空研究開発機構は23日、太陽の光の粒子を大きな帆に受けて進む宇宙ヨット「イカロス」の帆に組み込んだ液晶装置を遠隔操作し、帆全体を太陽に向け直すことに成功したと発表した。液晶装置による姿勢制御は世界初。姿勢制御にガス噴射エンジンを使う必要がなく燃料を節約できるため、将来、宇宙ヨットで木星探査を行う際、探査機の運用期間を延ばすことができる。
同機構の佐伯孝尚助教によると、この技術は世界各国で研究が進んでいる「宇宙太陽光発電」を実現する上でも重要。大面積の薄膜太陽電池を備えた衛星を地球上空約3万6000キロの静止軌道に配置し、マイクロ波などで地上に送電する構想だが、液晶装置で発電衛星の姿勢制御ができれば燃料節約につながり、寿命が延びる。液晶装置でどうやって向きを変えるんでしょうかね?詳しい情報を知りたいですね。宇宙航空研究開発機構の方簡単に教えてくれないですかね?

2010年7月23日金曜日

リットル44キロ!!

トヨタ自動車が、ガソリン1リットル当たりの走行距離が40キロ台半ばを超える燃費性能を持つ小型ハイブリッド車(HV)の開発を進めていることが分かった。同社の主力HV「プリウス」(38キロ)を上回り、現時点で量産車で世界最高の燃費とみられる。
小型HVはトヨタの人気小型車「ヴィッツ」をベースとしているようだ。現行のヴィッツに搭載しているガソリンエンジンの排気量は1000〜1500ccで、このクラスのエンジンと、電気で動くモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載する。
車体の軽量化やハイブリッドシステムの高機能化、エンジンの燃焼効率の向上などにより、ガソリン1リットル当たり44キロ(10・15モードで測定したカタログ燃費)以上を目指して開発中で、来年後半の発売が有力だ。価格は未定だが、150万円程度とみられる。
ホンダが今秋、投入する「フィット」は小型車として初のHVとなる見込みで、HVのラインアップの拡大につながる。小型車は初めてマイカーを買う層を中心に人気が高く、HVの普及を後押ししそうだ。街中でもHV車をかなり見かけるようになってきましたが価格の低下とともにもっと普及しそうですね。

2010年7月20日火曜日

Lipid Search

東京大学大学院医学系研究科田口研究室は、7月14日、三井情報(MKI)と共同で、大量の質量分析データから生体内脂質分子を一括して自動同定するツール「Lipid Search」の開発に成功したと発表した。MKIは、脂質解析の研究に取り組む製薬メーカーや食品メーカー向けに販売を開始した。税別価格は400万円(初年度年間保守費込)。
「Lipid Search」は、東大田口研究室が開発した脂質データベースをもとに、MKIがもつ波形解析ソフトウェア「Mass Navigator」を質量分析データの読み込みに利用し、脂質の同定までを自動で行うソフトウェア。核酸や蛋白質だけでは説明できない複雑な生命現象の解明や、メタボリックシンドロームや動脈硬化などの脂質関連疾患の病態解明、病態の進行度や生活改善の指標となるマーカー探索が加速すると期待されている。
今後は、解析対象(グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、グリセロ脂質以外の脂質)を拡張し、試料間の多変量解析機能を加えることで、脂質の統合的な解析ができるリピドミクスプラットフォームを構築する予定。脂質に関連した同定が自動的に行えることで脂質に関連する疾病などの解明などが今後進むと良いですね。

世界最高値から一気に100倍向上

国立大学法人東北大学・未来科学技術共同研究センター・横山弘之教授とソニー 先端マテリアル研究所は、共同研究の成果として、レザー光のピーク出力を従来の世界最高値から一気に100倍向上させた青紫色超短パルス半導体レーザーを開発したと発表。
今回開発に成功したのは、波長405ナノメートル(1ナノメートルは1メートルの10億分の1)の青紫色領域で、3ピコ秒(1ピコ秒は1秒の1 兆分の1)の超短時間幅、100ワットの超高出力ピーク出力、1ギガヘルツの繰り返し周波数を持つ、光パルスを発生できる半導体レーザー。新開発・独自構造の窒化ガリウム(GaN)系モード同期型半導体レーザーと光半導体増幅器を高度に制御することで、従来の青紫色パルス半導体レーザー出力の世界最高値の 100倍以上にもなる100ワット超のピーク出力を実現している。
半導体レーザーシステムは、将来、装置を大幅に小型化できる技術で、用途の大幅な拡大が期待できる。超高出力・超短パルス半導体レーザー光源では、高強度レーザー光のもとでのみ生じる2光子吸収と呼ばれる非線形現象を利用することが可能で、レーザー光をレンズで集光した際、レンズの焦点付近でのみ、レンズの焦点スポット径よりも小さな領域で化学変化や熱的な変化を起こすことができる。この性質を応用することで、無機・有機物質のナノメートルオーダーの3次元微細加工や、次世代大容量光ディスク記録など、幅広い分野への応用の可能性が広がるものと期待できる。従来の100倍の出力を発生させるとは凄い事ですね。様々な分野で応用される事を期待したいですね。

2010年7月19日月曜日

全面鏡張りの風変わりな機体

2014年夏に水星へ旅立つ探査機の試験機が、相模原市の宇宙航空研究開発機構でほぼ完成して、全面鏡張りの風変わりな機体が姿を現した。
水星は太陽に最も近い惑星で、地表温度は約450度に上る。熱対策が最大の課題で、鏡はその秘密兵器。強烈な太陽の光をはね返すことで、計算では鏡の表面を160度、観測機器が搭載された機体内部を60度以下に抑えることができる。
機体は幅約1・8メートルの八角柱で、翼のような形の太陽電池パネルはない。側面にぐるりと巻かれた3本の黒い帯が太陽電池だ。同じ面ばかりに光が当たって過熱しないよう、機体は回転し続けるが、どの面が太陽側を向いても発電できる。10月には、オランダで熱対策が有効か試験を行う。強烈な光と熱を発する「疑似太陽」を使い、水星と同じ熱に耐えられることを確かめる。成功すれば、実際に打ち上げる機体を来年6月ごろから製造する。
探査計画を率いる早川基(はじめ)教授は「水星探査は、熱との闘い。そのための様々な工夫を詰め込んだ」と話している。製作過程で様々な新しい技術が生まれていくんでしょうね、是非頑張って本体の製作に向かって欲しいですね。

「重力波」をとらえる大規模計画

アインシュタインが存在を予言した謎の波動「重力波」をとらえる大規模計画が日本で動き出す。
アインシュタインの一般相対性理論によると、重力は「時空のひずみ」を生む。トランポリンに重いボールを乗せると、重さで布が曲がるように、星の周りでは重力で空間がゆがみ、時間の進み方も遅くなる。
星が回転運動をすると、空間のゆがみは「さざ波」のように周囲へ広がる。これが重力波だ。1916年の一般相対性理論で存在が予言されたが、直接の証拠はまだ見つかっていない。
文部科学省は6月、東大宇宙線研究所が提唱した重力波望遠鏡「LCGT」の建設にゴーサインを出した。ニュートリノ観測で知られる岐阜県・旧神岡鉱山の地下にレーザー干渉計を設置し、2014年に初期観測が始まる。
真空パイプを一辺が3キロのL字形に置き、2方向にレーザー光を同時発射し、鏡で反射して戻るまでの時間を継続的に測る。重力波が届くと空間がゆがみ、片方の距離が長くなるので、戻る時間にずれが生じる。これを光の干渉現象で検出する仕組みだ。
検出するゆがみの量は、わずか100億分の1メートルの1億分の1。地球と太陽の距離が原子1個分だけ伸びたことが分かるほどの驚異的な性能だ。振動や温度変化が少ない地下に設置し、世界最高感度を実現する。
ターゲットは地球から6億光年の範囲で、2つの中性子星が互いに高速回転するときに出る重力波。同研究所の黒田和明教授は「本格的な性能で観測すれば、1年に数回は確実に検出できる。疑いの余地はない」と発見に自信をみせる。
重力波は、その存在を間接的に証明した米国研究者が1993年にノーベル物理学賞を受賞。直接検出に成功すれば受賞は確実視されており、関係者の間ではすでに候補者の名前が挙がっているほどだ。
本格観測を見込む2016年は、相対論の発表から百年の節目。ライバルの米国と欧州も、このころ既存施設の感度を日本と同水準に引き上げる計画で、三つどもえの競争が始まる。黒田教授は「少なくとも他国と同時、あわよくば一番乗りを目指す」と意気込む。
現在の天文学は、宇宙誕生から約30万年間の様子を見ることはできない。原始宇宙は素粒子だらけで、当時の光は粒子に邪魔されて真っすぐ進めず、地球まで届かないからだ。しかし、重力波はあらゆる物質を素通りしてくるので、「暗黒時代」の宇宙も映し出す。
国立天文台の藤本真克教授によると、原始宇宙から来る重力波の強さを調べることで、宇宙が火の玉状態(ビッグバン)の直前に急膨張したとする「インフレーション理論」を検証できる可能性がある。急膨張が終了してビッグバンが起きた時期が正確に分かれば、宇宙論の大きな前進だ。
一方、重力波が相対論の予言よりも弱かった場合は「革命」が起きる。空間は3次元ではなく、実は人間には見えないミクロの「余剰次元」が存在する初の証拠になるからだ。重力波の一部が余剰次元の空間にしみ出たと解釈でき、宇宙は最大11次元だとする「ブレーン(膜)宇宙理論」が現実味を帯びてくる。
「そうなればノーベル賞がいくつあっても足りない大事件。予想もしない物理学や天文学が生まれるだろう」と藤本教授。人類の宇宙観は、重力波の発見で一変するかもしれない。凄いプロジェクトが出発しますね。いち早く重力波を検出して宇宙開闢の秘密の扉を開けて欲しいですね!

2010年7月16日金曜日

記憶遺伝子特定

岐阜薬科大や神戸大など5大学による研究グループは15日までに、脳の「海馬」と呼ばれる部位に多く存在する特定の遺伝子が記憶に関与していることをマウスを使った実験で突き止めたと発表した。研究成果は米オンライン科学誌プロス・ワンに16日(日本時間)に掲載される。
海馬とは学習や記憶の形成に重要な役割を果たす。研究グループが突き止めた遺伝子は「ジアシルグリセロールキナーゼβ」(DGKβ)で海馬に多く存在する。実験では、DGKβを持たないマウスは正常なマウスに比べ記憶力が劣り、記憶の形成・保持に障害が認められたという。
岐阜薬科大の原英彰教授(薬効解析学)は「今後、さらにDGKβの働きを調べることで、アルツハイマー病やそううつ病などの精神疾患のメカニズムの解明や新薬の開発の手掛かりになる」と話している。海馬は記憶にとって重要な部分だとは聞いていましたがいよいよ記憶遺伝子が特定されたんですね。新薬の開発や様々な面での応用が期待されますね。

海藻からの効率よくエタノールを生産する技術を開発

東北大学の農学研究科の佐藤實教授の研究グループと、東北電力は、海藻からの効率よくエタノールを生産する技術を開発した。
海藻からのバイオエタノール生産は、構成成分が陸上植物と大きく異なるため、困難とされていた。いっぽう、火力発電所の冷却水として使用している海水系統には多量の海藻類が流入し、これらを廃棄物として処分している。
今回の研究の成果によれば、海洋で最も生産量の多い大型海藻である褐藻類を利用してバイオ燃料、バイオエタノールを生産することが可能となり、生産工程では、複雑な成分に合わせて連続多段階発酵工程で効率よくバイオエタノールを生産することができる。電力会社にとっては、発電所に流入する海藻類を有効に利用することができる。
褐藻に限らず緑藻や紅藻など海藻全般に応用可能で、食物と競合せずにバイオ燃料を製造できるため、世界各国のエネルギー問題に貢献する可能性がある。海に囲まれている日本ですから海草類からエタノールが生産できれば本当に良いですね。早く実用化に向けて開発を進めて下さい。

PCBを効率よく分離、濃縮する新技術

深刻な健康被害を起こすポリ塩化ビフェニール(PCB)を効率よく分離、濃縮する新技術の実用化に向け、大阪大(大阪府吹田市)と化学薬品製造「ネオス」(神戸市)が共同研究に取り組むと15日、発表した。
PCBを選択的に吸着する化合物「環状オリゴ糖誘導体」を利用。この化合物を金属製の筒に詰めた「カラム」に、PCBに汚染された油を流し、PCBを吸着させる。大阪大によると絶縁油成分にPCBが使われていた電気機器を処分する際、PCB汚染油が出るが、未処理のまま全国で計約50万トン以上が保管され容器の劣化や自然災害で環境中に漏れ出す恐れもある。
従来の方法ではすべて処理するのに100年以上かかるとされる。新技術では1割以下の時間と費用で処理できるといい、大阪大の明石満教授(高分子化学)は「PCB全廃に大きく貢献できる」と話している。早く実用化して全廃に向けて動き出して欲しいですね。

2010年7月14日水曜日

FIFAランキング32位へ

国際サッカー連盟(FIFA)は14日、ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会後、最初の世界ランキングを発表し、W杯でベスト16進出を果たした日本は前回の45位から大幅に順位を上げ32位になった。
上位陣ではW杯優勝のスペインが2位から一つランクを上げ3月以来の1位に返り咲いた。準優勝のオランダは4位から二つ順位を上げ2位になった。ベスト8で敗れたブラジルは二つ順位を落とし、3位になり首位の座から陥落した。3位だったドイツが6位から二つ順位を上げ4位、4位だったウルグアイは16位から6位になった。
グループリーグで日本と対戦したデンマークは七つ順を上げ29位に上昇。逆にカメルーンは前回19位から一気に40位まで順位を落とした。アジア勢最高はオーストラリアが20位と変わらず、韓国が44位と三つ順位を上げた。Jリーグも始まりますがよりスリリングな試合を期待したいですね。そして各チームが競い合って日本のサッカーのレベルをもっと押し上げていって欲しいですね。

抗がん剤の効果を高める新たな治療法

がん細胞周辺の血管を再生することで、抗がん剤の効果を高める新たな治療法を、旭川医科大の水上裕輔講師らのグループが開発した。治療が難しいすい臓がんなどに効果が期待できるといい、マウスを使った実験の成果が13日付の米科学誌キャンサーリサーチ電子版に掲載される。
研究では、がん細胞周辺にできる血管が不完全なことに注目。マウスの骨髄から血管の再生を促す細胞を取り出して再び体内に戻したところ、血管の機能が正常化し、抗がん剤が届きやすくなる効果が得られたという。
近年のがん治療は、酸素を運ぶ血管の発達を抑え、増殖や転移を防ぐ方法が脚光を浴びているが、酸素が少ない環境にも順応するすい臓がんなどへの対処が課題となっていた。
今回の治療法を施したマウスでは、薬が効きにくくなる低酸素の状態も改善され、抗がん剤を排除する遺伝子が50%以上低下したという。手術が難しいといわれているすい臓癌等に効果が期待できるというのは朗報ですね。

2010年7月13日火曜日

学ぶ楽しみは生涯、追い続けたい

滋賀県甲賀市水口町綾野の主婦万木(ゆるぎ)筆子さん(74)が15年以上かけて、通信制の放送大教養学部の各コース(専攻)を順番に受講し続けている。卒業研究に取り組んでいる「社会と経済」分野を終えれば、同大学にある全5コースを制覇することになる。滋賀県では初で、全国でも12人しか達成していない快挙だが、本人は「学ぶ楽しみは生涯、追い続けたい」と意欲的だ。
万木さんは1994年、放送大に入学した。9歳の時に終戦を迎え、墨塗りの教科書や学制改革をただ中で体験し、「勉強が中途半端だった」という思いを抱えていた。
子育てや親の介護が一段落したころ、妹の勧めで放送大を知った。高校の授業で源氏物語に魅せられた記憶もあり、文学や歴史を学ぶ「人間の探究」専攻に入学、7年かけて卒業した。受講した他の分野にも興味を広げ、「生活と福祉」「発達と教育」「自然の理解」の各専攻は2〜3年ずつで終え、大学をつごう4回卒業した。
現在のコースでは、映画「おくりびと」にヒントを得て、地域での葬送に対する意識の変化を卒業研究のテーマに選び、聞き取りや文献で調査したことを丁寧な字でノートに書きとめている。秋にはパソコンで論文を完成させる。
龍谷大構内の滋賀学習センター(大津市)での勉強会にも熱心に通い、指導する古賀和則客員教授(宗教社会学)は「学ぶことに謙虚な人」と感心する。
自宅でも朝晩、インターネットで授業を視聴する。万木さんは「不思議ですが、学びがあるから、家事も畑仕事も頑張れる。ものごとを考える張り合いになるんです」といい、健康が許す限り学び続けるという。
滋賀学習センターの佐藤尚武所長(滋賀大名誉教授)は「人生の中で『学び』を楽しみ、着実に自身の中に取り込んでいるのは素晴らしい。前向きな姿は、学問の世界にいるわたしたちも見習いたい」と話す。人間の本質は遊ぶ事以上に学ぶ事なんでしょうね。学び続ける事が喜びをもたらすんでしょうね。見習いたいものです。

水を使わない新しい太陽熱発電

三菱重工業は12日、世界初となる、水を使わない新しい太陽熱発電の商用化を目指す方針を明らかにした。
オーストラリアの国立研究機関と共同で2013年に2・5メガ・ワット規模の実証プラントを稼働させ、15年に10メガ・ワット規模のプラントで商用化を目指す。
従来の太陽熱発電は、水を蒸発させてタービンを回して、発電する方式だったが、新方式は高圧の空気を太陽光で熱してタービンを回す。水がない砂漠での発電が可能となるという。
三菱重工は、このほど「豪州連邦科学産業研究機構」と共同開発を行うことで正式契約をした。高さ100メートル程度の塔にある受熱器内の空気を反射鏡で約800度まで熱してタービンを回す。水やポンプなどが必要なくなるため設備を簡素化でき、発電コストは約2〜3割下がる見込みだ。砂漠というような環境的に厳しい環境でも発電が可能になるというのは良いですね。また緑地化などを逆に進めて人間の住める場所に転換が出来るかもしれませんね。是非順調に進む事を期待しています。

2010年7月11日日曜日

狭心症の患者に新しい治療法

東北大病院(仙台市青葉区)は9日、狭心症の患者に体外から低出力の衝撃波を当てる新しい治療法を開発したと発表した。
手術でも治療が難しかった狭心症が、苦痛なく治療できる可能性が開けた。今秋から50人の患者に治療を行う。
循環器内科の下川宏明教授が中心となり、スイスの医療機器メーカーと共同で新しい治療機器を開発した。弱い衝撃波を心臓の大動脈が狭くなった部分に当てると、その衝撃が引き金となって周囲に細かい血管が作られ、心臓の血流が改善する。衝撃波を体外から当てる治療は尿管結石などで広く行われている。
2回にわたり計17人の狭心症患者に臨床試験を行ったところ、狭心症の重症度が大きく下がったほか、発作用の治療薬がほとんどの患者で不要になった。
衝撃波は1回につき200発を50か所に当て、それを1日おきに3回繰り返す。1回3時間ほどかかるが、治療前に麻酔なども必要なく、痛みもまったくないため寝ていれば済む。
この治療は、厚生労働相が指定する「高度医療」に今月1日付で承認された。これにより、現在は保険外で26万5500円かかるが、将来は公的医療保険の適用が期待される。
下川教授は「衝撃波はほとんど負担がなく、手術などに耐えられない人にもできる」と話している。患者にとっては本当に朗報です。公的な医療保険も適用になればこんなに良い事はないですね。

2010年7月10日土曜日

太陽光の圧力によって加速

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、金星方面に向けて航行中の宇宙ヨット「イカロス」が、太陽光の圧力によって加速したことを確認したと発表した。約14メートル四方の帆(樹脂膜)で光の粒(光子)を受け止め、地球上で0.114グラムの物体がぶら下がったのと同程度の推力が得られたという。
「イカロス」は5月21日に金星探査機「あかつき」とともに打ち上げられた小型ソーラー電力セイル実証機。セイル展開の精密軌道決定で加速を確認した。JAXAは「これにより、惑星間航行で光子による史上最大の加速度を発揮した実証機になった」としている。0.114gの物体がぶら下がった程度の推力とは具体的には同程度なんでしょうかね。基本的には真空状態でしょうから様々な摩擦はないとすると等速運動をするから最終的には結構な速度になるんでしょうかね?あかつきは12月には金星に到着する予定のようですがイカロスはいつ頃到着するんでしょうかね?興味が尽きないですね。

2010年7月9日金曜日

Id4

骨形成の制御にかかわる新しい遺伝子を、埼玉医大ゲノム医学研究センター(埼玉県日高市)の岡崎康司教授らが発見し、9日付の米科学誌「プロス・ジェネティクス」電子版で発表する。岡崎教授は「骨粗しょう症の治療や創薬につながる手がかりになる」と話している。
老人性骨粗しょう症では、骨髄中の脂肪細胞が増える特徴がある。骨のもととなる幹細胞が、骨を作る骨芽細胞ではなく、脂肪細胞に分化してしまうことが原因と考えられている。
岡崎教授はマウスの幹細胞を骨芽細胞と脂肪細胞に分化させ、約3万の遺伝子の発現量の変化を解析。結果、「Id4」という遺伝子が骨芽細胞では活発に働き、脂肪細胞では活動が減少することを発見した。
さらに、Id4の遺伝子を欠損させたマウスでは、骨の量が半分以下になり、脂肪細胞が増えるという骨粗しょう症の特徴を持つことも判明した。骨粗しょう症の方は多いと聞きますから治療や創薬に具体的につながっていくと良いですね。

2010年7月8日木曜日

ココナッチ

ツイッターなどと連動する小型ロボット「ココナッチ」の開発が進んでいる。手のひらサイズでパソコンにつないで使用、音や光でメッセージが送られてきたことを伝えてくれる。開発は学生も参加する若手ベンチャーが手がけ、次世代のIT人材に注目が集まっている。
ココナッチは、日常生活の中でコミュニケーションを助けるためのロボット。パソコンにつないだ状態でメールを受信したり、ツイッターで話しかけられたりすると、光や揺れで教えてくれる。相手もココナッチを使用している場合、「おはよう」や「おなかすいた」など、約20の単純なメッセージを音声で送ることも可能。さわってゲームを楽しむこともできる。
開発したのは、東京大学大学院や早稲田大学大学院の学生と、ロボット制作ベンチャー「ユカイ工学」(東京都新宿区)。「ロボット普及の最初の壁は女性。リビングに置いてもらうためには、女性に受け入れられなければならないと思い、ココナッチを開発しました」とユカイ工学代表、青木俊介さんは話す。今秋には一般での発売を目指すという。
ココナッチ開発を指導したロボット工学者の石黒浩・大阪大学大学院教授は「若いベンチャーが色々な挑戦をすれば世の中が変わっていくと思う。『たまごっち』も『ツイッター』も最初は一世を風靡(ふうび)するとは思われなかった。ココナッチも世の中を変える可能性は十分にある」と語った。これって可愛いしヒットしそうな予感がしますね。発売が待たれますね。

新たに数十個の微粒子

宇宙航空研究開発機構は7日、小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰ったカプセル内にある物質の本格的な回収作業を6日からはじめ、新たに数十個の微粒子が見つかったと発表した。
カプセル内には、もともと地球上の微粒子が百個以上混入していると考えられており、見つかった微粒子が小惑星「イトカワ」由来の物質かどうかについては、9月以降に行う詳細な分析で判断する。
5日までの光学顕微鏡による調査で、カプセル内からは、0・01ミリ・メートルほどの微粒子が2個確認されていた。その後、容器の一部分を特殊なへらを使って調べたところ、へらの表面に0・01〜0・001ミリ・メートルほどの数十個の微粒子が付着していたという。
今後、微粒子を電子顕微鏡などで観察し、明らかに地球上の物質と考えられる粒子を除外したうえで、9月以降に詳細な分析を行う。小惑星「イトカワ」の試料が見つかれば、太陽系の進化をひもとく貴重な情報が得られると期待されている。
7年も掛かって帰還したんですから焦らずゆっくり見守ってあげたい気分ですね。でも早く結果を知りたい思いですがね。何らかの情報が得られる事を期待しましょう。

2010年7月7日水曜日

ツナサンド

東京大学生産技術研究所は7日、海中ロボットで深海底を連続撮影することに成功したと発表した。海底資源探索などでの活用が期待される。
ロボット「ツナサンド」は全長1・1メートル、幅70センチ。水深1500メートルの深海で、4時間活動できる。動画の撮影も可能だ。東大は今年6月、新エネルギー源として注目されるメタンハイドレートが大量に埋蔵されている可能性のある沖縄・石垣島南方の海底探査を実施。ツナサンドは深さ約630メートルの深海底を1200平方メートルの範囲にわたって撮影した。ロボットの画像からは、生物の生息状況や鉱物の色など、音波探査ではつかめない様々な情報が得られるという。海洋国家日本にとって大陸棚などを中心とした海洋資源の開発は今後重要になって行くでしょうから性能をあげてもっと深海に挑戦して行って欲しいですね。

「ブレーキ」のメカニズムの一端を解明

細胞の移動を制御する「ブレーキ」のメカニズムの一端を解明したと、名古屋大大学院理学研究科の武田修一研究員らのグループが6日付の米科学誌電子版に発表した。細胞運動を理解するのに役立ち、がん細胞の転移を防ぐ治療研究への応用も期待できるという。
細胞は、細胞中に最も多いタンパク質「アクチン」が複数結合(重合)すると移動し、「アクチンキャッピングタンパク質」(CP)という物質がアクチンに結合するとアクチンの重合を抑えて移動を止める。CPの「ブレーキ能力」は、別の二つのタンパク質とCPの結合によって調節されることが分かっていたが、詳しい仕組みは未解明だった。
研究チームは大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)のエックス線解析を使い、二つのタンパク質とCPとの結合構造を解析。アクチンより先にCPと結合してアクチンとCPの結合を防いだり、アクチンとCPの結合力を弱めて引き離すなどの方法で、二つのタンパク質がCPのブレーキ能力を調節する仕組みを解明した。なんとも難しい話でなかなか理解も出来ませんが癌転移を防ぐための治療に応用される事を期待したいですね。

運動機能が回復

腫瘍(しゅよう)にならない人工多能性幹細胞(iPS細胞)を選び、脊髄(せきずい)を損傷したマウスに移植、運動機能を回復させることに、岡野栄之・慶応大教授と山中伸弥・京都大教授の研究チームが成功した。iPS細胞はさまざまな組織や臓器の細胞になり、再生医療への応用が期待されているが、腫瘍を作る危険性があった。
研究チームはマウスの脳にiPS細胞を移植し、半年たっても腫瘍を作らなかったiPS細胞を選んだ。次に、さまざまな神経細胞になる神経幹細胞に変化させ、脊髄が損傷したマウスに損傷9日目に50万個移植すると、だめになった後ろ脚を使って歩いたりできるまでに回復した。
一方、腫瘍化の可能性があるiPS細胞で同じように実験すると、運動機能は一時的に回復したが、約5週間後には脊髄内で腫瘍が形成され、機能も低下した。岡野教授は「安全性を厳密に評価すれば、iPS細胞を将来、脊髄損傷の治療に使える道が開かれた」と話す。まだまだ越えなければならないハードルがいくつもあることでしょうが、それらをクリヤーして再生医療を確固たるものにして行って欲しいですね。

植物に感染する病原性カビ

植物に感染する病原性カビの一種「炭疽(そ)病菌」が、葉の傷口の周辺から葉の内部に侵入することを、京都大大学院農学研究科の高野義孝准教授(植物病理学)らの研究チームが突きとめ、7日付(日本時間)の米科学誌「プラントセル」(電子版)に掲載された。
病原性カビによる世界の農業生産被害は、全生産に対して年間約10〜15%といい、約8億人分の食料に相当するという。新たなカビの感染システムを明らかにしたことで、より効果的な防除技術の開発が期待される。
これまで明らかになっていた炭疽病菌の感染の仕組みは、胞子が植物の葉の上で発芽してドーム状の細胞に成長し、この細胞が葉の表面を破って菌糸が侵入するシステムしか分かっていなかった。
研究チームは今回、傷のある葉に感染するケースでは、菌がドーム状の細胞を形成せず、傷の周囲に胞子が付着し、弱った葉の組織を菌糸が直接破ることを発見。従来の農薬は、このケースを防げないという。
高野准教授は、菌が葉の傷口から出る糖分を敏感に察知し、より効率的な侵入方法を選択しているのではないかと指摘。「研究を進め、菌の侵入を防ぐ薬剤の開発に努めたい」としている。8億人の食料とは凄い量ですね。是非薬剤の開発を早急に進めて欲しいですね。

省エネ性能世界一

東京大は6日、国立天文台と共同開発したスーパーコンピューター「GRAPE—DR」が、スパコンの省エネ性能で世界一になったと発表した。
電力1ワットあたりの計算回数は8億1500万回。現在の最高速スパコンよりも約3倍の効率を達成した。
このスパコンは、東京大などが開発した処理装置を付け加えた通常のパソコンを多数連結したもので、昨年3月に運転開始した。
スパコンの省エネ度を半年ごとに発表する「グリーン500」プロジェクトに、改良を重ねながら挑戦し、6月のランキングでトップに立った。今年度内にさらに5割効率をアップさせ、省エネ性能でも世界をリードしていくという。良いんじゃないでしょうかね。どんな部門にせよ世界一は気持ちがいいものですね。省エネは日本の得意とする分野ですから更なる改善に向けて頑張って欲しいですね。

2010年7月5日月曜日

京 ( けい )

昨年の事業仕分けで、一度は事実上の凍結を言い渡された次世代スーパーコンピューター(スパコン)の愛称が、「 京 ( けい ) 」に決まった。
開発を進める理化学研究所が5日発表した。「京」は1兆の1万倍を表し、次世代スパコンが1秒間に1京回の計算をこなせることにちなんだ。
次世代スパコンは、2012年の完成予定。一般からの愛称募集で1927件の応募があり、有識者らでつくる選考委員会が絞り込んだ。「京」を提案したのは7人。最も多く提案された名前は公表しないという。是非世界一を目指して開発に取り組んで欲しいですね。

微粒子が入っていた!!

小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰ったカプセルに、微粒子が入っていたことが分かった。宇宙航空研究開発機構の関係者が、朝日新聞の取材に明らかにした。微粒子は地上で混入した可能性もあり、宇宙機構は成分を詳しく分析し、イトカワで採取できたものかを調べている。イトカワの物質なら、月以外の天体に着陸して試料を持ち帰った世界初の例となる。
カプセルは、特殊な装置の中で開封され、内部にあるサンプルキャッチャーと呼ばれる採取容器内で微粒子が見つかった。ただ、ごく微量だという。顕微鏡で観察しながら一粒ずつ分析する。
はやぶさは2005年11月にイトカワに着陸、試料採取装置は正常に作動しなかったが、着陸で舞い上がったほこりが採取できた可能性が指摘されていた。1ミリ以上の砂が入っていないことは、開封前のX線撮影でわかっている。
宇宙機構は今後、微粒子に含まれる同位体や結晶構造などから地球上のものと異なるかを判断する。 イトカワは、46億年前に太陽系ができた当時の状態を保っていると考えられ、試料の組成や構造を突き止めることで、当時の様子を知る手がかりになると期待されている。イトカワから採取された微粒子である事を期待したいですね。

2010年7月2日金曜日

メガネなしで3D映像を!

平らなテーブルの上に立体(3D)映像を映し出し、周囲に座っている人が特殊なメガネなしに見ることができる装置の開発に、情報通信研究機構けいはんな研究所(京都府精華町)の吉田俊介専攻研究員らの研究チームが世界で初めて成功した。航空管制や防災対応などへの応用が期待できそうだ。
これまでにもメガネなしで3D映像を見られる装置はあったが、見える角度が限られるなど使いづらい難点があった。
研究チームは直径約80センチの机の中央下に、すり鉢形で直径約20センチのディスプレーを設置し、その背後に96台のプロジェクターを円状に並べ、机の周囲に座っている人全員が3D映像を見られる装置を試作。高さ最大5センチほどの映像が浮かび上がり、メガネなしで見えることを実証した。
動画の上映も可能で、研究チームは今秋にも動画の映像を実現する方針。吉田さんは「今回は自作した部品もあるため像が不鮮明だが、今後は像の高画質化・大型化を目指したい」と話している。家庭でも眼鏡なしで3Dを楽しめるように実用化に向けて更なる研究を進めて欲しいですね。

心臓病患者に朗報

重い心臓病患者の心臓から筋肉のもとになる幹細胞を取り出して大量に増やし、再び心臓に戻して機能を回復させる国内初の治療に、京都府立医科大学の松原弘明教授らのチームが成功した。
患者の心機能は日常生活に支障がない程度まで回復し、1日退院した。国内の重い心臓病患者は100万人以上とされ、松原教授は「心臓移植や人工心臓に代わる重症患者の治療として期待できる」と話している。
患者は、今年2月に急性心筋梗塞(こうそく)を起こした神戸市長田区の山口さん。
松原教授らのチームは4月、山口さんの脚の付け根から血管を通して心臓まで細い管を入れ、組織片約15ミリ・グラムを採取。その中に含まれる幹細胞を1か月余り培養して約4万倍に増殖させた。
6月1日、心臓の筋肉に血液を送る動脈の「バイパス手術」を行うと同時に、血流不足で壊死(えし)が進む左心室の壁に幹細胞を注射し、その上に心筋の成長や増殖を促すたんぱく質を塗った縦横5センチ・メートルのゼラチンシートを張りつけた。
山口さんは、通常のバイパス手術だけでは大きな改善が見込めないほど重症で、絶対安静に近い状態だった。手術の約2週間後には、十分に社会復帰できるレベルまで心臓のポンプ機能が回復。不整脈などの副作用も起きず、手術から1か月後のこの日退院した。幹細胞が心筋や血管に変化し、新たな心臓組織が再生したとみられる。
退院後の記者会見で山口さんは、「胸の痛みや動悸(どうき)が改善した。廊下を歩けるし、自分でシャワーを浴びることもできるようになった」と笑顔を見せた。
チームは8月中に2例目の手術を実施。さらに国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)と共同で4人治療を行う。こうして安全性を確かめたうえで2012年度以降には、東京大や九州大など4大学も加わり、患者40人を対象に有効性を確認する試験を行う計画だ。
松原教授は「まずは心臓移植を待っている患者への一時的な治療などから始め、将来はこの方法だけで多くの重症患者を治療したい」と話している。
心臓病患者にとってまさに朗報ですね。臨床での治療を通じて安全性や有効性を確立して欲しいですね。

血液細胞からiPS細胞を短期間で作ることに成功

ヒトの血液細胞から、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を短期間で作ることに、慶応大学医学部の福田恵一教授らの研究チームが成功した。皮膚細胞などを使う従来の方法ではiPS細胞の作製に約70日かかるが、リンパ球を使うと最短で25日に短縮された。1日付の米科学誌「セル・ステムセル」(電子版)に発表した。
研究チームは、リンパ球の一種で免疫をつかさどる「T細胞」に、京都大の山中伸弥教授が使った4種類の遺伝子を導入し、iPS細胞を作製。遺伝子の運び屋(ベクター)として、安全性の高い「センダイウイルス」を用いた。
T細胞は増殖が速く培養も容易で、遺伝子導入の手順も簡略化できる利点があり、作製期間の大幅な短縮に結びついた。わずか1滴の血液からでもT細胞を培養・増幅し、iPS細胞を作れる。福田教授は「iPS細胞の迅速な量産が可能になる」としている。
また、従来の方法でベクターとして使われるレトロウイルスは、細胞の核に入り込んでゲノム(全遺伝情報)を損傷する可能性があり、がん化の危険性を伴った。これに対し、センダイウイルスは細胞質にとどまって遺伝情報の複製やタンパク質の合成を行うので、ゲノムの損傷による危険性は解消されるという。
皮膚細胞などからiPS細胞を作る従来方法では、細胞採取の際に切開・縫合を伴う手術が必要だが、血液を使えば患者の苦痛は軽減される。
研究チームはすでに、T細胞由来のiPS細胞を心筋細胞に分化させることに成功。福田教授は「iPS細胞を再生医療に幅広く利用するには、患者の苦痛軽減と迅速化、安全性向上が重要。T細胞の利用により大きく前進するだろう」と話している。血液からiPS細胞がつくられるようになれば患者さんの負担も大分軽減される事でしょうね。同時に研究が大幅に進む事でしょう。