2010年10月12日火曜日

トポロジカル絶縁体

結晶内部は電流を通さない絶縁体だが、表面は電気を流す特徴を持つ「トポロジカル絶縁体」の新物質を、東北大大学院理学研究科の佐藤宇史准教授(固体物理学)らの研究グループが発見した。室温で安定して機能するトポロジカル絶縁体が作られたのは初めてで、実用化が期待される。消費電力が低い電子部品や超高速コンピューターの開発が大きく進む可能性があるという。
トポロジカル絶縁体は電子が質量ゼロのため非常に高速で動ける上、電子の動きが不純物に邪魔されない性質も備え、小さいエネルギーで稼働できる利点がある。
研究グループは理論的にトポロジカル絶縁体になり得ると予測されていたタリウム、ビスマス、セレンの化合物に着目した。比率を調整しながらこれらの物質を混合。高温で溶かした後、徐々に冷やして大型の結晶を作ることに成功した。
紫外線を当てて放出される電子を調べる光電子分光を用いて、化合物の内部と表面の電子状態を観測したところ、トポロジカル絶縁体であることが証明された。
これまでトポロジカル絶縁体として二つの物質が報告されている。いずれも室温では絶縁体の機能が不安定で、余分なエネルギーが流れてしまう欠点があった。研究グループが発見した化合物は、室温でも絶縁体が安定した状態を保つことができた。
成果は大阪大などとの共同研究。佐藤准教授は「従来の数分の1から10分の1ほどの電力で動くコンピューターの電子部品が造れる可能性がある」と話している。是非電子部品として実用化出来るように研究を深めて欲しいですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿