2010年10月14日木曜日

有限会社・桜江町桑茶生産組合

日経ビジネスに面白い記事が掲載されていた。一部割愛して掲載させて頂きました。ゆっくり読んでみて下さい。
今回は、いわゆる地域資源を活用し、産業化を果たした有限会社・桜江町桑茶生産組合を取り上げる。この会社があるのは、江の川沿いの中山間地域に位置する島根県江津市桜江町。最盛期に比べて人口も半分に減少するなど、典型的な高齢過疎の町である。
最盛期の昭和30年代、産業の基盤はコメ作りと養蚕だった。だが、中国地方でも有数の桑畑が広がった桜江町も時代の波には逆らえない。約30ヘクタールの桑畑は放棄され、負の遺産になっていた。
そんな土地に、福岡県博多からアイターンでやってきたのが古野俊彦・房子夫婦である。現在、古野氏は桜江町桑茶生産組合など、3社の社長を務めている。グループの売上高は約4億円(平成22年度12月期見込み)。桑茶を中心とした機能性食品の加工、販売をしている。
桜江町桑茶生産組合は放棄されていた120ヘクタールの遊休耕地を復活させた。地元での生産加工も実現、桜江町の活性化に大きく貢献している。この動きに呼応した行政も、地域での起業と定住を促進する「江津市定住促進ビジョン」を作成、この成功事例をひな型に、多くの取り組を始めようとしている。
桑茶を産業化したことで、地域の負の遺産に価値が生まれた。周辺地域まで含めれば、120ヘクタールもの圃場が機能性食品原料の生産基地となり、農地が守られた。農地が農地として利用されたことで、桑のある里山風景も復活している。
「50名もの雇用を継続して創出し、地域コミュニティーの生き甲斐作りに大きく貢献した」。 だが、何より重要な成果は、「江津は農業を捨てていた。桜江で桑茶が成功するまで、中山間地の農業を大切にしなければならないということに、多くの人は気づいていなかった」。
中山間地では、高齢者が米や野菜を作り、子供や孫に分け与えるという心豊かな生活を営む空間があった。その豊かな空間を、農業はつまらないと捨ててきた。だが、この中山間地農業こそ、求められているのではないか。
現在、江津市役所は直売所や学校給食と中山間地農業を結びつけるだけでなく、遊休耕地の再生や高齢者の生き甲斐、健康作りの場と組み合わせようとしている。
桜江町でつくられた産業の仕組みは、「農業の六次産業化」の代表的な事例として国から表彰を受けている。六次産業化とは、一次産品を生産する農業、それを加工する二次産業、販売する三次産業を融合すること。すなわち、「1×2×3=6」と見立てることで、付加価値を作りだし、地域に経済価値を呼び込もうとしているのだ。
これまで、田舎であったがために、「ここには何もない、何もできない」とあきらめにも似た気持ちを持っていた。だが、人々は確実に前を向き始めている。何もないところなど存在しない。桜江町桑茶生産組合はそれを教えてくれる。
地域から日本を元気にする一つの試みではないでしょうかね。企業としては様々な競争の問題があるのでしょうが諦めずに何かを初めてみる時なのかもしれませんね。

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