米国のGPS(衛星利用測位システム)を補完・補強する準天頂衛星の初号機「みちびき」が11日、種子島宇宙センター(鹿児島県)から「H2A」ロケット18号機で打ち上げられる。日本初の測位衛星で、GPSで生じる受信障害の解消と測位精度の大幅な向上が期待される。実用化には最低3基が必要で、政府はみちびきでの技術・利用実証を踏まえて、来年中に2号機以降の計画の是非を判断する。
カーナビや携帯電話に利用されるGPSは、人工衛星からの信号を受信して地球上の位置を知ることができるシステム。約30基の衛星が地球を周回しており、このうち4基からの信号が受信できれば正確に測位できる。ただ、GPS衛星の軌道は日本での利用に配慮しておらず、高層ビルや山などに信号が遮られやすい地域では1日に2時間半程度、測位が困難になる。
準天頂衛星は1日8時間ほどは日本のほぼ真上(準天頂)を飛行。3基で運用すればGPS衛星と併用で受信障害はほぼ完全に解消でき、7基に増やせばGPSに依存せずに日本周辺の測位が可能になる。
初号機のみちびきは宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となって開発、機体製造や地上施設の整備、打ち上げなどに計約735億円を投入した。
みちびきはGPSとの共通信号のほかに、最高精度が約1メートルと約3センチに分かれる2種類の補強信号も発信する。いずれも専用の受信機が必要だが、測位精度は現在の約10メートルから大幅に向上する。
精度向上により、カーナビの高度化や次世代の交通安全システム、危険な工事現場での重機の無人操縦、高齢者や子供の所在確認などへの利用拡大が期待される。みちびきでの技術・利用実証は国と民間がそれぞれ行い、財団法人「衛星測位利用推進センター」(東京都)がまとめた民間分には、企業や大学など101団体から計58テーマが提案された。多くの利用実証は今年12月から約2年間の予定。
同センター企画管理本部長の桜井也寸史さんは「多くのテーマが集まり、手応えを感じている。利用成果を示し、すそ野を広げたい」と話す。
明日打ち上げに成功して軌道に乗る事を期待しています。
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