2010年9月10日金曜日

脱希土類モーター

家電・素材メーカー各社は電気自動車や家電品に不可欠なモーターを、従来の主力材料のレアアース(希土類)を使わずに作る技術を相次ぎ開発した。レアアースは主要生産国の中国が輸出規制しており、安定調達に懸念がある。代わりに入手しやすい材料を使うメドをつけた。日立製作所は酸化鉄で実用的なモーターを試作、2年後に製品化を目指す。帝人と東北大学などは鉄と窒素を使った新材料を開発、高性能モーターに応用する。
モーターは磁石の力(磁力)で回転力を得る仕組みで、ハイブリッド車や電気自動車、冷蔵庫、エアコンなど様々な製品の性能を左右する中核部品。回転子と呼ばれる磁石部分に、大きな力を効率良く生み出せるネオジムやジスプロシウムなどのレアアース材料が使われている。調達難に備えて、各社は代替材料の開発を急いでいる。
日立は調達が容易で安価な酸化鉄でできた永久磁石「フェライト磁石」を使ったモーターを開発した。そのままでは磁力はレアアースを使った場合の半分しかないため、回転部分に磁力が効率良く届くように構造を工夫し、取り出せる力を大きくすることに成功した。
レアアース製に比べて約1割小さい電力で同じ力が得られる性能を確認。電気の無駄が少なく省エネになる。実用化のメドが得られたとして、今後2年程度でエアコンなどへの応用を目指す。大型化すれば電気自動車にも応用可能とみている。
ダイキン工業と大阪府立大学の森本茂雄教授らのグループは単独では磁力が弱い鉄とフェライト磁石を組み合わせて、高出力モーターを開発した。鉄の回転子の中にフェライト磁石を埋め込む独自の構造を採用した。
ハイブリッド車に使われているモーターの10分の1ほどの大きさで、出力が5キロワットの小型モーターを試作、車に使えるだけの回転数が得られた。来年度中に出力20キロワットの実用的な大型モーターを作り、製法も効率化して製品化につなげる。
帝人と東北大学は鉄と窒素からなる新材料で、強力な磁石を作る技術を開発した。材料を約10ナノ(ナノは10億分の1)メートルの粒子状にすることに成功。磁石としての性能を高める工夫をしたうえで、粒子を樹脂に混ぜて成形すれば様々な形の永久磁石が作れるとみている。これまで加工の難しさが実用化へのネックの一つになっていた。
鉄などの代替材料はレアアースに比べ産地が分散し、入手が容易で価格も安い。加工も含めたコストの分析はこれからだが、酸化鉄などに切り替えてもレアアース並みかそれ以下に抑えられる可能性があるという。レアアースは電気自動車1台あたり1~1.5キログラムが必要との試算もあり、しばらくは需要増は確実とみられる。中国がレアアースの輸出を押さえる等手に入りにくい状態ですが技術力でそれに勝る内容のものを作り出して欲しいですね。そして早い段階で実用化して欲しいですね。

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