渡部昇一氏の近著『決定版・日本史』(育鵬社)は「大人のための歴史教科書」と銘打っているだけに、教えられることは多い。中でも幕末にペリーの黒船がやってきたときの幕府の対応は興味深い。開国までの決断がどうあったかである。
▼渡部氏によれば幕府はそもそも、開国しても大きな問題はない、と判断していた。遭難して米国に渡り帰国したジョン万次郎より開国要求の目的について情報を得たからだ。それは捕鯨船の避難港がほしく貿易もしたいためで、日本征服の意図はないというものだった。
▼それならその判断を公表し、初めから責任をもって断固開国すると言うべきだった。実際は優柔不断で諸大名に意見を求めた。大名たちは好き勝手なことを言うばかりでまとまらない。結局は朝廷から庶民まで巻き込み「蜂の巣をつついたような」騒ぎとなる。
▼もう2年近い民主党政権の体たらくも徳川幕府のそれと似ている。たとえば沖縄の米軍普天間飛行場移設問題である。自民党政権時代に米国との間で決着がつき、実施は当時の鳩山由紀夫首相の決断だけだったのに、世論ばかりを気にし混乱に陥れてしまった。
▼移設計画は6月の日米安保協議委員会でようやく、当初のものにもどった。だがこの時間的ロスについて北沢俊美防衛相は「民主主義のコスト」と述べたそうだ。自分たちの決断のなさで日本の安全を揺るがせたことを「民主主義」のせいにされてはたまらない。
▼むろん原発再稼働をめぐる菅直人首相の責任逃れもそうだ。こちらは自らの「延命」の具としているようで、一段とタチが悪い。徳川幕府がその決断のなさから自壊していったように、民主政権の崩壊も近い気がする。
▼渡部氏によれば幕府はそもそも、開国しても大きな問題はない、と判断していた。遭難して米国に渡り帰国したジョン万次郎より開国要求の目的について情報を得たからだ。それは捕鯨船の避難港がほしく貿易もしたいためで、日本征服の意図はないというものだった。
▼それならその判断を公表し、初めから責任をもって断固開国すると言うべきだった。実際は優柔不断で諸大名に意見を求めた。大名たちは好き勝手なことを言うばかりでまとまらない。結局は朝廷から庶民まで巻き込み「蜂の巣をつついたような」騒ぎとなる。
▼もう2年近い民主党政権の体たらくも徳川幕府のそれと似ている。たとえば沖縄の米軍普天間飛行場移設問題である。自民党政権時代に米国との間で決着がつき、実施は当時の鳩山由紀夫首相の決断だけだったのに、世論ばかりを気にし混乱に陥れてしまった。
▼移設計画は6月の日米安保協議委員会でようやく、当初のものにもどった。だがこの時間的ロスについて北沢俊美防衛相は「民主主義のコスト」と述べたそうだ。自分たちの決断のなさで日本の安全を揺るがせたことを「民主主義」のせいにされてはたまらない。
▼むろん原発再稼働をめぐる菅直人首相の責任逃れもそうだ。こちらは自らの「延命」の具としているようで、一段とタチが悪い。徳川幕府がその決断のなさから自壊していったように、民主政権の崩壊も近い気がする。
民主政権が崩壊しても、その後を引き継ぐ政権や指導者が見当たらないのが、今の日本の厳しさをより深いものにしている。
『決定版・日本史』には、今我々が取り戻していかなければならない多くの内容が盛り込まれている。誇り高い日本人を一人ひとりが目指すことが、日本復興の一番の近道のような気がする。
歴史評論の第一人者が、日本の通史を初めて1冊で著した「渡部日本史」の決定版!
「われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、
われわれはどこへ行くのか――
という問いが発せられるとき、その答えのヒントとなるもの、
それが自分の国の歴史である。
幸いにして日本には世界に誇れる歴史がある。
この素晴らしい歴史を鑑として、
今一度、誇り高き日本を取り戻さなくてはならない。
それはこの時代に生きる日本国民全員に与えられた
使命であると思うのである」
(本文より)
★内容★
第1章 古代――神話に見る日本人らしさの源流
第2章 中世――「男性原理」の武士の時代
第3章 近世――織田信長が開いた近世の扉
第4章 近代――明治維新に見る日本人の進取の気性
第5章 現代――「東京裁判史観」の呪縛
「われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、
われわれはどこへ行くのか――
という問いが発せられるとき、その答えのヒントとなるもの、
それが自分の国の歴史である。
幸いにして日本には世界に誇れる歴史がある。
この素晴らしい歴史を鑑として、
今一度、誇り高き日本を取り戻さなくてはならない。
それはこの時代に生きる日本国民全員に与えられた
使命であると思うのである」
(本文より)
★内容★
第1章 古代――神話に見る日本人らしさの源流
第2章 中世――「男性原理」の武士の時代
第3章 近世――織田信長が開いた近世の扉
第4章 近代――明治維新に見る日本人の進取の気性
第5章 現代――「東京裁判史観」の呪縛
一読の価値のある書籍ですね。
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