早稲田大学理工学術院の胡桃坂教授と立和昭助教らは、人の染色体の中心部分の構造を世界で初めて詳細に解明した。中心部分は、細胞が分裂するときに染色体が分離する要となる。ダウン症などの病気に深く関わるため、発症メカニズムの解明などに役立つ。成果は英科学誌ネイチャー(電子版)にこのほど掲載された。
研究チームは、染色体の中心部にある4種類のたんぱく質に注目。遺伝子組み換え技術で大腸菌に人工的に作らせ、DNAと一緒に試験管の中で反応させ、結晶を作ることに成功した。結晶を専用施設で解析したところ、DNAが4種類のたんぱく質を包みながら両腕を広げた基本構造をとっていることがわかった。
両腕があることで、染色体の分離に必要なたんぱく質がくっつき、正常に分離できると考えられるという。これまで染色体の末端の構造はわかっていたが、中心部はわかっていなかった。
人の染色体は中心部のくびれを起点に2つに分離されて、細胞分裂が進む。ダウン症やターナー症候群などの染色体分離の異常が原因の病気などは、中心部の機構がうまく働かないためと考えられている。発病のメカニズムが解明され、予防方法や症状の改善などに結びついていくといいですね。
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