東北大学流体科学研究所の寒川誠二教授らの研究チームは、シリコンを材料に使い、エネルギー変換効率45%以上が見込める次世代太陽電池を作る基本技術を開発した。「量子ドット型」と呼ばれる微細な結晶が内部に並ぶ太陽電池で、現在実用化されている薄膜シリコン太陽電池と同じ材料を使いながら、変換効率は薄膜シリコンの理論上の限界値である30%を超える。従来シリコンは均一な量子ドットの作製が難しく、材料コストがシリコンの10倍以上の化合物半導体を使う研究開発が主流だった。
寒川教授らは均一な構造を作るたんぱく質を利用。たんぱく質に鉄の微粒子を含ませて規則正しい構造を作る。たんぱく質を除去して残った鉄が等間隔に並ぶプレートを型にして、シリコン基板上に円盤状の量子ドットを形成する手法を開発した。球形である一般的な量子ドットに比べて円盤形状は厚さを調整しやすい利点がある。
今回特に、直径10ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の高密度なシリコン量子ドットと、中間層として炭化ケイ素(SiC)を組み合わせた場合に、量子ドット太陽電池の高効率化に欠かせない「ミニバンド」と呼ばれる部分が作れることを初めて確かめた。自然に存在しない人工的な結晶構造である超格子構造ができており、デバイスの特性を出しやすい形状に自在に制御できるという。欠陥がないことを示すシリコンの発光現象も確認した。
量子ドット太陽電池は一般に45―60%のエネルギー変換効率が可能とされ、2020年以降に実用化を見込む次世代太陽電池の有力候補といわれている。化合物半導体の量子ドット太陽電池は高効率化が期待できるがシリコンに比べて材料コストが高い。一方、シリコンは量子ドットを均一に作ることが難しかった。寒川教授らは1、2年後をめどに太陽電池の試作を目指す。
節電の夏ですから、一刻も早く実用化されることを期待したいですね。
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