2010年11月24日水曜日

微生物でレアアースを回収、精製する技術

ハイテク製品や光ファイバーなどに欠かせないレアアース(希土類)が大腸菌など身近な微生物の細胞の表面で濃縮されることを、広島大などのチームが見つけ、17日に発表した。中国からの輸入に頼るレアアースを回収、精製する技術として期待される。成果は米科学誌に掲載された。
広島大の高橋嘉夫教授(環境化学)らは大腸菌や桿(かん)菌など6種類の微生物を、レアアースが溶けた液に入れた。すると、微生物の細胞の表面にレアアースが集まり、濃縮されることがわかった。
15種類のレアアースで実験し、いずれも溶液そのものの濃度より1万倍以上も濃縮されることを確かめた。特にツリウム、イッテルビウム、ルテチウムでは濃縮率が10万倍を超えた。金属イオンの回収に広く使われる「陽イオン交換樹脂」より濃縮の効率は10〜100倍も良いという。
濃縮される仕組みを調べるため、大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)で微生物にX線を当てて細部を観察したら、細胞表面の細胞壁にある「リン酸基」にレアアースが結びついていた。
レアアースが結合した微生物を酸にさらせば、レアアースが酸に溶けて回収できる。また、濃縮率の違いを利用すれば、複数の種類のレアアースが混在した溶液から、狙った種類だけを分離・精製するのにも使えるという。
ただ、微生物は生き物なので、繰り返し使えないのが弱点。「レアアースがくっつく部分を人工的につくれれば実用化に近づく」と高橋さん。
ツリウムは光ファイバー、イッテルビウムはガラス着色剤やレーザー、ルテチウムは放射線源(ベータ線源)などに使われる。レアアースは中国が世界の生産の97%を占めている。是非日本国内で回収から精製の流れが出来上がっていく事を期待します。

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