「アリジゴクは排泄(はいせつ)しない」という「通説」が覆されるかもしれない。千葉県袖ケ浦市の小学4年生、吉岡諒人(りょうと)君(9)が夏休みの自由研究で、アリジゴクの「お尻」から黄色の液体が出たことを確認した。吉岡君から質問を受けた日本昆虫協会(東京都千代田区)は「通説や本、インターネットの情報をうのみにせずに発見した、価値ある研究」として今年度の「夏休み昆虫研究大賞」に選んだ。6日に表彰式があった。
アリジゴクはウスバカゲロウ科の幼虫。一部の種はさらさらの砂地にすり鉢状のくぼみを作り、落ちてきたアリなどの体液をあごから吸う。幼虫期は肛門(こうもん)がほぼ閉じていて、成虫になる羽化時にため込んだ糞(ふん)をまとめて出す。日本昆虫協会によると、本やネット上では、羽化時まで「排泄しない」と記されたものが多いという。
吉岡君は、近所の植え込みの下でアリジゴクを見つけて採集し、7月から約1カ月、生態を観察した。当初はアリ以外も食べるかなどを実験。しかし、アップの写真を撮ろうと白い紙の上にアリジゴクを置いた時、黄色い液体を出したのに気づいた。「プクーって出た後にはじけて、黄色い染みが広がった」という。
「おしっこやうんちはしないはず」と思い、染みの写真をインターネットの質問サイトや日本昆虫協会などに投稿して質問したが、納得のいく答えは得られなかった。
「エサの体液を吸っているんだから、おしっこを出さないと破裂するはず」との疑問が消えず、10匹のアリジゴクを白い紙の上に置いて調べた。その結果、数時間後、4匹の紙に黄色い染みができ、「お尻」はぬれていて「触ったらちょっととろりとした」という。
「砂の魔術師アリジゴク」などの著書がある京都教育大学の松良俊明教授は「アリジゴクはエサの体液を吸うので糞はしないが、尿として出す可能性はある。ほとんどふさがっている肛門でも、液体なら通るのでは」と話す。「砂が尿らしき物で固まっていたのを見たことがあるが、白い紙を使って尿の染みまで確認したのは聞いたことがない」
学校に提出するため、リポートをA4判55枚にまとめたところ、協会から「協会の賞に応募しては」と声がかかり、漫画家のやくみつるさんや昆虫研究家ら審査員9人の全会一致で「夏休み昆虫研究大賞」に選ばれた。協会の木村義志理事は「尿が実際に確認されない中、『排泄しない』という記述があふれ、『糞だけでなく尿もしない』という通説が広まっていたのに、流されなかったのはえらい」と話す。排泄という事についての研究ですが何か気持ち良いですね。是非通説などには捕われないで自由な発想で今後も様々なものに関心を持っていって欲しいですね。
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