福島大学で、中高年が博士号取得を目指して学んでいる。今年度から新設された同大初めての博士課程で学ぶ人たちで、在籍する11人のうち、60歳代が3人、50歳代が2人おり、4月時点での平均年齢は45・5歳。「第2の人生」の目標として博士号取得を目指そうと、人気が集まったようだ。大学側は「予想以上に幅広い年代が集まった」と驚きながらも、社会人として経験を積んだ院生による研究の成果に期待を寄せている。
今月初旬、共生システム理工学研究科博士後期課程に入った11人のうち、50〜60歳代の院生4人が、サプライチェーンマネジメント研究室のゼミで討論していた。全員が銀行やメーカーなどのOBもしくは現役の社会人。トヨタの生産方式というこの日の研究課題に対し、「前の会社では、小集団を作って生産活動を高めていた」「日本では人間関係が生産効率に影響を与えることが多い」など、自らの経験を基にした意見を活発に交わした。星野教授は「受け身になりがちな若い学生に比べ、学習意欲が高く、現場の経験を踏まえた議論ができる。教える側も大きな刺激を受ける」と目を細める。
いわき市平の鈴木さんも会社を辞めて博士号取得を目指す1人だ。東京の大学を卒業後、出身地のいわき市で外資系の化学・医薬品メーカーに勤務。顔料の生産管理に携わってきたが、「会社の外で何が起きているかを知りたい」と、2005年4月に福島大大学院地域政策科学研究科に入学し、会社員との二足のわらじをはいた。
入学式では「長男と同年代の学生に囲まれて恥ずかしかった」が、過疎の進む自治体を訪ねる授業や、進路を相談してくる同級生と話すことは楽しかったという。片道2時間の大学へはフレックスタイム制度の利用や土日曜を使って通った。
研究では、いわき市の100以上の企業にアンケートし、CSR(企業の社会的責任)について調査。もっと研究を続けたいと、昨年6月に退社した後、「どうせなら博士号を」と考え、今年4月に入学した。
現在の研究テーマは、CSRに環境経済学を組み合わせ、ビジネスモデルとして理想のCSRを提案すること。来年の4月までに論文1本を書き上げることを当面の目標とし、参考論文を読む日々を送る。鈴木さんは「子供の頃は勉強嫌いだったのに、この年齢になって新たな自分を発見した。これからも新しいことを学び続けていきたい」と意気込む。
同大総務課によると、同大の学部、修士課程に入学する50歳以上の学生の数は1996〜2000年の5年間で11人だったのに対し、01〜05年は53人、06〜10年は78人と増加傾向にある。中村民雄副学長はこの理由について、「高度経済成長を支えた人たちの勤勉さが、学問を突き詰めるという研究の方向性と合致したのではないか。その延長として博士課程でも高齢の人たちが多く入学したと考えられる」と指摘。その上で「多様な人がいることで大学内で切磋琢磨が出来る。制度もより良いものに改善していきたい」と話している。
ガンバレ中高年!!と言ったところですね。是非団塊の世代を中心に中高年世代がもうひと頑張りして日本を元気にして欲しいですね。
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