化学大手が、石油資源を使わない素材の開発を加速させている。植物由来の原料への転換に加え、二酸化炭素(CO2)そのものを原料に使って化学品を生み出す取り組みも本格化する。いずれも実用化できれば、CO2排出量の削減が期待できるという。
三井化学茂原分工場(千葉県茂原市)の施設では昨年春から、穀物などから取り出した糖類を大腸菌の力でプラスチックの原料にかえる実験が進む。高さ1メートルほどの培養槽内に、遺伝子を組み換えた大腸菌を入れて糖類を発酵。一部の糖類からは高純度の原料を生み出せた。数年内の商業生産入りを目指す。将来は、廃糖蜜(砂糖精製後の残り液)など食べられない植物由来品を原料にする方針だ。
三井化学は、CO2そのものを原料に使う実験も加速する。水素と反応させて樹脂原料になるメタノールをつくる実験を昨年3月に開始。設備の運転で排出するため地球上のCO2は減らないが、天然ガスを使う今の手法より排出量は4割減る。中国やシンガポールの化学大手などと事業化に向けて交渉中で、年内にも具体的な計画を決め、5年以内の商業運転を目指す。
「脱石油」素材の開発を加速させるのは、石油が将来、枯渇した場合に備えて原料の多様化が必要なうえ、プラスチックなどの化学品は自動車、家電からごみ袋まで幅広く使われるだけに、「CO2の削減効果が大きいと期待される」ためだ。
化学大手では、土に埋めると水とCO2に分解するプラスチックの原料生産について、三菱化学がタイの化学会社と提携を検討中。今夏にも共同事業化で合意する方向だ。その原料を現在の石油から、サトウキビなどの植物由来のものに切り替えていく。CO2を吸収する植物由来のため、分解後のCO2排出量と相殺されるという。この辺の技術力は天下一品ですから世界にもっとアピールして具体化させていって欲しいですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿