2010年4月17日土曜日

オープンソース

中小零細、衰退産業、下請け、地方企業。この“四重苦”をかいくぐって取引を拡大し、躍進を続ける紙加工メーカーがある。従業員15人の中山商事(福井市)。顧客の信頼を獲得するために選んだのは、あえて手の内を明かすという逆転の発想だった。
容器メーカーなどから注文を受け、弁当箱や贈答用の箱などの紙材料の加工を手掛ける下請け業者。社長の中山裕一朗さんが父親から経営を継いだ2003年、中山商事はどこにでもある中小企業の1つだった。
他社との激しい価格競争にさらされ、新規の顧客を開拓しようと営業を繰り返しても「地方の無名企業なんて、門前払い」。業績は低迷を続けていた。
そこで中山さんが注目したのが「オープンソース」というコンピューターソフトの開発手法だった。通常は極秘とされる設計情報(ソース)を公開し、誰でもソフトを改良、再配布できるようにする「オープンソース」の導入。外資系ベンチャーでIT(情報技術)関連の仕事に携わった経験を持つ中山さんならではのアイデアだった。
同年春に「紙製品加工技術研究会」というグループを設立。会員限定で月1回、メールやファクスで情報の無料提供を開始した。
公開したのは、紙の反りや伸縮を減らすコツ、切れカスの処理法など、紙加工技術のノウハウ全般。業界では珍しい取り組みは一躍注目を集めて問い合わせが殺到、2億2000万円だった年商は1年で3億4000万円に伸びた。
3年前、ネットを通じてこの取り組みを知った三重県名張市の包装容器メーカーの社長は「技術を公開するくらいだから、信頼できると感じた」。現在まで月100万円前後の取引を続ける。
研究会の会員は約200人に増え、今も週1回のペースで問い合わせが舞い込む。「ノウハウを公開することは、その内容を顧客と約束すること。良い技術を隠していても顧客に伝わらず、価値は生まない」と中山さん。極秘情報をオープンにするIT業界の先進的な知恵が、小さな町工場に信用力を生んだ。ノウハウを無料で提供することで信頼を勝ち得て取引を拡大させたという感じですね。無料というコンセプトが今注目を浴びていますがそこに何らかの勝利のポイントがあるのかもしれませんね。これを参考に多くの中小企業が元気になって欲しいですね。

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