メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の原因となる中性脂肪やコレステロールを吸収し、体外に排出する「パラミロン」という物質が注目されている。大阪府立大や東大などの研究チームがパラミロンを含む微細藻類の大量培養に初めて成功し、実用化が本格化した。人体に有害なものを体外に出すデトックス(解毒)効果とともに、バイオ燃料や二酸化炭素(CO2)を吸収するエコ効果も期待されている。
パラミロンは微細藻類「ユーグレナ」にしか含まれていない食物繊維成分だ。ユーグレナとは、池や田んぼなど、私たちの身近にいるミドリムシのこと。その大きさは、わずか0・05~0・1ミリ。
ユーグレナには細胞を変形させて運動することができる動物的な性質と、光合成するという植物的な性質があり、動物と植物の中間的な存在と言われている。顕微鏡で見ると、赤い斑点が目のように見えることから、ラテン語の「美しい(eu)」と「目(glena)」という単語から名付けられた。
とても小さいため、実用化には大量培養できるようにすることが必要だった。そこで大阪府立大と東大、近畿大などが共同研究グループを結成し、05年に大量培養に成功した。
「体に不足している栄養素を補給できるうえ、体に不要なものを排出できるという両方の機能を兼ね備えている。それがユーグレナの特徴だ」。大阪女子短期大学長で、大阪府立大名誉教授の中野長久氏(農学博士)は語る。中野氏は30年以上にわたって研究に携わり、共同研究チームの代表の一人でもある。
ユーグレナに含まれるパラミロンは、キノコなどにも含まれるβ1、3グルカンによって構成される三重らせん状の高分子体だ。中野氏によると、パラミロンの表面には無数の微小な穴があり、そこに脂肪やコレステロールを取り込むことができる。しかも消化されないのでそのまま体外に排出できるという。
生活習慣病など、肥満が原因となる病気が多い現代では、体内にある不要物質を外に出す「引き算による健康維持」が重視されるようになってきている。パラミロンは中性脂肪などのほか、人体に入った有害重金属を排出する作用も持っており、「引き算」の役割を担うものとして注目されている。
加えて、便通を改善して腸の働きを良くする効果があるほか、腸管の粘膜細胞を刺激して免疫機能をアップさせる力もある。中野氏は「抗ウイルス、抗アレルギー効果もあり、がん抑制やアトピー性皮膚炎の解消にも役立つことが期待できそうだ」と話す。人間や地球に対して有用な微細藻のようですね。実用化に向けて研究を加速させてほしいですね。
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