皮膚細胞で作った人工の心臓大動脈弁を移植することに、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が世界で初めて、ヤギで成功した。
人間とほぼ同じ大きさのヤギ(体重50キロ)の大動脈弁は、1か月経過した7日も正常に動いている。従来の人工弁が使えない子どもなどの治療に道を開く成果として注目される。
血液の逆流を防ぐ大動脈弁に異常がある心臓弁膜症などの患者には、弁を金属などで作った機械弁や、動物の心臓を加工した生体弁に置換する手術が行われる。
手術は毎年約1万件あるが、機械弁は血の塊ができやすい上、成長につれて心臓が大きくなる子どもには不向き。生体弁も約15年で劣化し、再手術が必要という欠点がある。
同センターの巽英介・人工臓器部長と中山泰秀室長らは、心臓弁と同じ線維芽細胞の多い皮膚細胞の再生力に着目。アクリル樹脂で大動脈弁の型を作り、ヤギの背中の皮膚下に埋め込んだ。
1か月後に皮膚細胞が分泌したコラーゲンが型を包み込むように固まり、直径2センチ、厚さ0・5ミリの弁ができた。ヤギの心臓に移植し、今も正常に動く。
同じ手法で作ったイヌの肺動脈弁は、3か月で心臓とほぼ一体化。肺動脈弁より高い圧力がかかる大動脈弁の作製は難しいとされるが、巽部長は「ヤギの大動脈弁も心臓と一体化している可能性がある。そうすれば生涯使える」と話す。心臓の弁の手術に実際に使用できるようになれば本当に良いですね。
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