2010年8月6日金曜日

iCM細胞(誘導心筋細胞)

マウスの心臓や尾の線維(せんい)芽細胞から、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を経由せずに心筋細胞を作ることに、慶応大医学部の家田真樹助教らが成功した。iPS細胞が抱える安全性などの問題を回避でき、心臓再生医療を大きく前進させる可能性がある。7月まで家田さんが在籍した米グラッドストーン研究所での成果で、新開発の細胞をiCM細胞(誘導心筋細胞)と名付けた。5日付の米科学誌「セル」(電子版)に論文を発表した。
iCM細胞には、あらゆる細胞に分化できるiPS細胞のような多能性はないが、がん化の危険性が低く、分化や精製の複雑なプロセスを必要としないので、作製期間はiPS細胞(1カ月半)の3分の1程度の2週間に短縮される。
家田さんらは心筋細胞だけで特異的に働く14種類の遺伝子に着目。線維芽細胞に14遺伝子を導入すると約1%が心筋細胞に変わることを発見し、遺伝子を絞り込んだ。その結果、3つの遺伝子(Gata4、Mef2c、Tbx5)が必要不可欠で、2割近い確率で心筋細胞が得られることを確認したこの細胞をマウスの心臓に移植すると、腫瘍を作らずに心筋細胞になる。マウスの尾から採取した線維芽細胞からも、同じ方法でiCM細胞が作られた。
臨床応用が実現すると、心筋梗塞などの患者の心臓にカテーテルなどで遺伝子を送り込み、開胸手術をせずに心筋を再生できる可能性が開ける。
マウスのiCM細胞作製は米国での研究成果だが、家田さんは日本でヒトiCM細胞の作製を目指すという。日本での研究の飛躍におおいに期待したいですね。

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