九州工業大(北九州市戸畑区)の学生チームが開発を進めている小型衛星「鳳龍(ほうりゅう)弐(に)号」が、2011年度に打ち上げられる宇宙航空研究開発機構のH2Aロケットに搭載されることが決まり、3日から耐性試験が始まった。
今回の衛星は、球状の太陽電池を使って発電効率を向上させる実験を行うことが目的で、史上初の300ボルトの高電圧発電に挑戦する計画だ。
同機構は08年、鹿児島県種子島から打ち上げているH2Aの余剰スペースに搭載する小型衛星の公募を開始。09年1月と今年5月、鹿児島大や民間企業などが開発した計10基を宇宙に打ち上げた。3度目となる11年度打ち上げ分には7件の応募があり、選定委員会が9月、技術力や研究課題への期待度などから鳳龍弐号だけを選抜した。
九工大によると、一辺約30センチの立方体で、重量は約6・7キロの小型衛星。計画では、高度680キロの軌道を約1時間40分で地球を1周し、同大から通信制御する。
一般的な板状の太陽光パネルとは違って、球状の太陽電池を使う。球面を利用することで、様々な角度から当たる光を効率良く吸収し、安定して発電できる。これまでの宇宙空間での発電の最大値は国際宇宙ステーションの160ボルト。今回の実験が成功すれば宇宙ホテルや宇宙基地といった大量の電力を必要とする施設などへの活用が期待できるという。発電実験の期間は約1年間。
来年7月の完成を目指して始まった試験では、実物大の模型を使って、200度の温度差や強い振動に耐えられるかどうかを調べる。火薬を爆発させてロケットと衛星を分離する際の衝撃耐性試験や、衛星との通信試験も行う予定だ。
学生ら25人で作る「鳳龍プロジェクト」マネジャーで大学院1年の西村さんは「たくさんのトラブルに直面するかもしれないが、乗り越えていきたい」と意気込む。指導する趙孟佑(ちょうめんう)教授(宇宙工学)は「小さな衛星でも大きく世の中に役立つことを証明したい」と話している。まずは搭載が決定おめでとうございます。様々な課題と直面するでしょうが、頑張って乗り越えて打ち上げへの準備を進めて欲しいですね。
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