2010年7月2日金曜日

血液細胞からiPS細胞を短期間で作ることに成功

ヒトの血液細胞から、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を短期間で作ることに、慶応大学医学部の福田恵一教授らの研究チームが成功した。皮膚細胞などを使う従来の方法ではiPS細胞の作製に約70日かかるが、リンパ球を使うと最短で25日に短縮された。1日付の米科学誌「セル・ステムセル」(電子版)に発表した。
研究チームは、リンパ球の一種で免疫をつかさどる「T細胞」に、京都大の山中伸弥教授が使った4種類の遺伝子を導入し、iPS細胞を作製。遺伝子の運び屋(ベクター)として、安全性の高い「センダイウイルス」を用いた。
T細胞は増殖が速く培養も容易で、遺伝子導入の手順も簡略化できる利点があり、作製期間の大幅な短縮に結びついた。わずか1滴の血液からでもT細胞を培養・増幅し、iPS細胞を作れる。福田教授は「iPS細胞の迅速な量産が可能になる」としている。
また、従来の方法でベクターとして使われるレトロウイルスは、細胞の核に入り込んでゲノム(全遺伝情報)を損傷する可能性があり、がん化の危険性を伴った。これに対し、センダイウイルスは細胞質にとどまって遺伝情報の複製やタンパク質の合成を行うので、ゲノムの損傷による危険性は解消されるという。
皮膚細胞などからiPS細胞を作る従来方法では、細胞採取の際に切開・縫合を伴う手術が必要だが、血液を使えば患者の苦痛は軽減される。
研究チームはすでに、T細胞由来のiPS細胞を心筋細胞に分化させることに成功。福田教授は「iPS細胞を再生医療に幅広く利用するには、患者の苦痛軽減と迅速化、安全性向上が重要。T細胞の利用により大きく前進するだろう」と話している。血液からiPS細胞がつくられるようになれば患者さんの負担も大分軽減される事でしょうね。同時に研究が大幅に進む事でしょう。

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