2010年7月13日火曜日

学ぶ楽しみは生涯、追い続けたい

滋賀県甲賀市水口町綾野の主婦万木(ゆるぎ)筆子さん(74)が15年以上かけて、通信制の放送大教養学部の各コース(専攻)を順番に受講し続けている。卒業研究に取り組んでいる「社会と経済」分野を終えれば、同大学にある全5コースを制覇することになる。滋賀県では初で、全国でも12人しか達成していない快挙だが、本人は「学ぶ楽しみは生涯、追い続けたい」と意欲的だ。
万木さんは1994年、放送大に入学した。9歳の時に終戦を迎え、墨塗りの教科書や学制改革をただ中で体験し、「勉強が中途半端だった」という思いを抱えていた。
子育てや親の介護が一段落したころ、妹の勧めで放送大を知った。高校の授業で源氏物語に魅せられた記憶もあり、文学や歴史を学ぶ「人間の探究」専攻に入学、7年かけて卒業した。受講した他の分野にも興味を広げ、「生活と福祉」「発達と教育」「自然の理解」の各専攻は2〜3年ずつで終え、大学をつごう4回卒業した。
現在のコースでは、映画「おくりびと」にヒントを得て、地域での葬送に対する意識の変化を卒業研究のテーマに選び、聞き取りや文献で調査したことを丁寧な字でノートに書きとめている。秋にはパソコンで論文を完成させる。
龍谷大構内の滋賀学習センター(大津市)での勉強会にも熱心に通い、指導する古賀和則客員教授(宗教社会学)は「学ぶことに謙虚な人」と感心する。
自宅でも朝晩、インターネットで授業を視聴する。万木さんは「不思議ですが、学びがあるから、家事も畑仕事も頑張れる。ものごとを考える張り合いになるんです」といい、健康が許す限り学び続けるという。
滋賀学習センターの佐藤尚武所長(滋賀大名誉教授)は「人生の中で『学び』を楽しみ、着実に自身の中に取り込んでいるのは素晴らしい。前向きな姿は、学問の世界にいるわたしたちも見習いたい」と話す。人間の本質は遊ぶ事以上に学ぶ事なんでしょうね。学び続ける事が喜びをもたらすんでしょうね。見習いたいものです。

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