植物に感染する病原性カビの一種「炭疽(そ)病菌」が、葉の傷口の周辺から葉の内部に侵入することを、京都大大学院農学研究科の高野義孝准教授(植物病理学)らの研究チームが突きとめ、7日付(日本時間)の米科学誌「プラントセル」(電子版)に掲載された。
病原性カビによる世界の農業生産被害は、全生産に対して年間約10〜15%といい、約8億人分の食料に相当するという。新たなカビの感染システムを明らかにしたことで、より効果的な防除技術の開発が期待される。
これまで明らかになっていた炭疽病菌の感染の仕組みは、胞子が植物の葉の上で発芽してドーム状の細胞に成長し、この細胞が葉の表面を破って菌糸が侵入するシステムしか分かっていなかった。
研究チームは今回、傷のある葉に感染するケースでは、菌がドーム状の細胞を形成せず、傷の周囲に胞子が付着し、弱った葉の組織を菌糸が直接破ることを発見。従来の農薬は、このケースを防げないという。
高野准教授は、菌が葉の傷口から出る糖分を敏感に察知し、より効率的な侵入方法を選択しているのではないかと指摘。「研究を進め、菌の侵入を防ぐ薬剤の開発に努めたい」としている。8億人の食料とは凄い量ですね。是非薬剤の開発を早急に進めて欲しいですね。
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