2011年9月23日金曜日

光より早いニュートリノ

名古屋大などの国際研究グループは23日、物質を構成する素粒子の一種であるニュートリノが、光の速度より速く飛んでいるとする観測結果を発表した。
 現代物理学の基礎であるアインシュタインの特殊相対性理論では、宇宙で最も速いのは光だとしている。今回の結果は同理論と矛盾しており、観測結果が事実なら物理学を根底から揺るがす可能性がある。
 この観測結果が得られたのは、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関(CERN)の「OPERA実験」。ニュートリノ(ミュー型)を加速器という装置で打ち出し、約730キロ・メートル離れたイタリアのグランサッソー地下研究所へ地中を通して飛ばした。
 光はこの距離を0・0024秒で飛ぶが、今回の観測によって、ニュートリノは光より1億分の6秒速く到達していることが分かった。これは、光の速度より0・0025%だけ速く飛んだことを示している。
 ニュートリノの飛行速度を巡っては、2007年に米国の研究チームが論文を発表している。しかし、この時は誤差と区別がつかなかったため、「光速と差がない」と結論づけられた。今回は原子時計を備えた全地球測位システム(GPS)と光学測量を組み合わせ、3年間かけて約1万5000回分の飛行速度を精緻に測定した。その結果、誤差を考慮しても、光速を超えていることが判明した。
 この観測結果は、現代物理学では説明できない。観測に参加した名古屋大の中村准教授は「物理学全体への影響が大きいため、解釈は加えないと研究グループ内で合意している」と述べ、他グループの実験による検証を求めるために発表に踏み切ったとしている。多くの研究機関で更なる検証が必要でしょうが、現代物理学を根底から覆す可能性を秘めていますね。

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