日蓮上人が始めた講学が起源とされ、仏教の学問所「善学院」が発展してできた身延山大学(山梨県身延町)の東洋文化研究所仏像制作修復室、柳本教授らが、東日本大震災の被災地に寄進する悲母観音菩薩像3体の制作に取りかかる計画を明らかにした。まず1体を2年がかりで彫り上げ、岩手県遠野市に建立する。6年後には宮城県仙台市に、さらに福島県にも建立する計画だという。
悲母観音はすべての悲しみを受け入れてくれるとされる。教授らは「仏教の『慈悲』とは悲しみを共有することであり、被災者が悲しみから立ち上がり希望を持って復興を成し遂げることを願い彫りたい」という。
同大仏像制作修復室はこれまでも国内外の国宝クラスの仏像修復を手がけてきた。5月中旬には悲母観音菩薩を被災地の人たちの心の支えになるようにと寄進を決め、6月初旬から柳本教授が菩薩像のデッサンを描き上げ、彫刻の元となる原型の5分の1の菩薩像を粘土で制作した。
仏像建立を支援する永照寺幼稚園(甲府市)の吉田園長は「大学は公益法人であり、被災地への社会貢献として柳本教授らが東北人の心の支えになる観音菩薩をつくることになった。大学が持つ技術が社会に還元され、当地の人々の活力になればいいと考えた」と悲母観音菩薩像建立計画の起こりを説明する。
今日、身延山久遠寺で「のみ入れ式」を行い、制作を本格化する。その後は大学の工房を一般公開して、被災地の復興を願い、一般の人たちにものみを入れてもらうことを考えている。
今日で、震災から半年ですね。復興の兆しは見えてきたものの、多くの方々の心の中には悲しみがシミのように残っていることと思います。多くの方々の思いを込めて作られる悲母観音菩薩像が、そんな心の痛みや悲しみを拭い去ってくださることを祈るばかりです。
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