2010年6月1日火曜日

T2Kオープンスパコン

中央大学、京都大学、東京工業大学、理化学研究所の研究チームは28日、富士通が京都大学 学術情報メディアセンターに納入した「T2Kオープンスパコン」を用いて、分子の挙動を解明するための最適化問題を精密に計算することに世界で初めて成功したことを発表した。
身の回りのさまざまな物理や化学現象は、「シュレディンガー方程式」とよばれる方程式に支配されており、これを計算することで、原子や分子の状態やエネルギーが分かり、さまざまな現象を理解できるとされている。しかし、現実には、方程式を厳密に適用すると複雑過ぎて計算できる望みのない大きな計算式になってしまう。2001年に、京都大学の中田真秀、中辻博教授らは、巨大なシュレーディンガー方程式を解くかわりに、半正定値計画問題(Semidefinite Programming、以下SDP)とよばれる最適化問題の計算を行う方法を提案。小さな原子・分子には有効だったが、挙動が複雑なより大きな分子に対して計算を行うには、SDPに対する計算の高速化が鍵となっていた。
富士通が京都大学学術情報メディアセンターに納入した「T2Kオープンスパコン」は、大規模な科学技術計算に対応したもの。今回、SDPの高速な計算方法として、最先端の計算アルゴリズムに基づいたソフトウェア「SDPARA」の開発を行い、SDPARAを T2Kオープンスパコンで大規模に実行することで、これまで成しえなかったエタン(CH3)、アンモニア(NH3)、酸素(O2)に対するSDPの精密な計算に世界で初めて成功したという。
今回の成果は、水分子の挙動、タンパク質の性質、光合成、超電導のメカニズムの解明によって、新薬や新素材の開発に貢献できるという。さらに今後は、物理・化学の分野のみならず、自然科学や、制御設計や信号・画像処理などの工学、社会科学の分野で、幅広い応用が期待されるとのこと。スパコンの開発による分子レベルの挙動を綿密に計算出来た事を通じて様々な分野への応用が期待されているようにスパコンの重要性が改めて示された感じですね。

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