2010年6月14日月曜日

瀬川泰代さん

難病のジストニアで右手の自由を奪われたエリザベト音楽大(広島市中区)の研究生瀬川泰代さん(22)は、左手だけで鍵盤をたたきながら、一つひとつの音を際立たせ、複雑に絡ませながら、哀歓を帯びた演奏を繰り広げる。 右手をひざに置いてピアノに向かい、左手だけを鍵盤に載せる。5本の指は独立した意志を持ったように動き、旋律と伴奏を、ペダルで音を残しながら巧みに弾き分け、綿密に構成された曲に命を与える。
左手のためのピアノ曲「タピオラ幻景」(吉松隆作曲)。瀬川さんが同大を代表して出演する「広島市新人演奏会」(広島市文化財団主催)の演目だ。「左手でこれだけの表現ができることを知ってもらいたいんです」。瀬川さんはそう思いを語る。
瀬川さんと同じジストニアを発症し、左手の演奏に取り組む世界的なピアニスト智内威雄さん(33)(大阪府)は、左手のためのピアノ曲の譜面を100曲以上所有しているという。
智内さんは「音が少ない分、一音一音に演奏者の資質が問われる。だから人の心にしみいるんです」と話す。両手が使える人でも、左手のピアノ曲に魅力を感じて取り組む人は多いという。
瀬川さんは高校3年のときに右手が硬直したような異変を感じ、大学1年の秋にジストニアと診断された。医師から「治る見込みはない」と告げられ、1年ほどは練習に身が入らず、ピアノを華麗に弾きこなす音が聞こえてくると耳をふさぎたくなったという。
そんな時、県内の演奏会で智内さんに出会い、その演奏に心を揺さぶられた。帰宅後、メールを送ってみると、すぐに返信が来て、思いがけず、智内さんのレッスンを受けることになった。ラベルやスクリャービンなど、片手でも演奏できる曲はたくさんあった。現在も月に1度、大阪に通い、教えを受ける。
瀬川さんは「以前は『両手で弾けたら』との思いもあった。今は違う。左手だけの曲には人を感動させる力があると思っています。もっともっと練習をし、大曲もこなしたい」と夢を広げている。
瀬川さんが出演する広島市新人演奏会は19日午後1時半から、東区民文化センターで開かれる。入場料は一般1000円(当日200円増)、小中高校生無料。演奏会の問い合わせは広島市文化財団(082・244・0750)へ。是非多くの方々に感動を与えて欲しいですね。そしてやれば出来るという世界を伝えて欲しいですね。是非多くの方がすばらしい演奏に耳を傾けて欲しいです!!

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