2010年5月28日金曜日

肝臓の幹細胞を作り出すこと成功

人の皮膚や胃から採取した細胞に3種類の遺伝子を入れて、肝臓の幹細胞を作り出すことに、国立がん研究センターの石川哲也室長らが世界で初めて成功した。
体外で大量に増やすことが可能で、肝炎ウイルスの研究や、患者一人ひとりの体質に応じた薬の開発など幅広い応用が期待できる。6月に東京で開催される研究会で発表する。
肝臓の細胞には、様々な物質の代謝や解毒、酵素の合成など多彩な働きがあるが、体外で培養してもほとんど増えず死んでしまう。そのため、幹細胞の段階で増殖させ、成熟した肝臓の細胞に育てる技術が求められていた。
石川さんらは皮膚や胃の細胞に、ウイルスを使って遺伝子を導入し培養。3週間後、アルブミンなど肝臓特有の様々なたんぱく質を合成する幹細胞ができた。
150日以上培養し、いったん凍結保存したものを解凍し、再び増やすことにも成功した。
B型、C型肝炎などの治療薬の開発には、ウイルスを肝臓の細胞に感染させる実験が必要とされる。しかしこれらのウイルスは、人やチンパンジーにしか感染しないため研究が難しく、副作用の強い治療薬しかない。幹細胞から肝臓の細胞を大量に作れば、安全な新薬の開発に貢献する。
また、肝臓には解毒作用があるため、薬の毒性検査にも役立つ。高脂血症薬の開発や、採取した細胞から作った肝臓幹細胞をもとに本人に合った薬を開発することも可能になりそうだ。本当に様々な分野に応用できそうですね。是非実用化に向けて頑張って欲しいですね。

落雷や豪雨などを予報するシステム

大阪府東大阪市の町工場が中心となって開発した小型衛星「まいど1号」に搭載された装置と同じタイプを使い、平城遷都1300年祭会場(奈良市)の落雷や豪雨などを予報するシステムを開発したと大阪大の河崎善一郎教授(大気電気学)らが27日、発表した。
河崎教授は「最先端の装置と遷都祭の歴史のアンバランスさがおもしろい。遷都祭の安心・安全な運営につながれば」と話している。
河崎教授らは雷雲から発生する電波を受信し、位置や発達過程を観測する「広帯域干渉計」を開発。昨年1月打ち上げられたまいど1号では、宇宙でも正しく動作することを確認した。
この干渉計を遷都祭の平城宮跡会場付近の地上に設置。落雷、ひょう、豪雨、突風、竜巻を発生の約30分前に予測し、遷都祭の運営組織に連絡する。10キロ以内に雷雲が近づくと、放送と回転灯で来場者に避難を促す。
システムは、遷都祭終了後も運用を継続し、ほかのイベントでの導入も検討されているという。小型衛星の打ち上げに伴う多くの技術が他の分野に応用展開されていくんでしょうね。その意味でも宇宙開発に中小企業や大学が参加する意味は大きいでしょうね。

2010年5月26日水曜日

細胞が正常か異常かを色で表すことができるタンパク質

細胞が正常か異常かを色で表すことができるタンパク質を、京都大大学院農学研究科の阪井康能教授(応用生命科学)らの研究チームが開発し、25日付(日本時間)の米学術誌「モレキュラーアンドセルラーバイオロジー」(電子版)に掲載された。
異常な細胞は酸化状態か還元状態になるが、これまで正常な状態と一見して見分けることは困難だった。色で識別できるタンパク質の開発により、細胞が異常をきたすがんなどの研究に役立ちそうだ。
研究チームは、微生物の細胞内にあり、酸化・還元状態を感知する機能があるタンパク質を抽出。これを遺伝子操作で、クラゲのタンパク質から作った黄色と水色の蛍光色を発する2種類のタンパク質と組み合わせ、新しいタンパク質を作り出した。
このタンパク質を組み込んだハムスターの細胞を使った実験では、もとは緑色だったタンパク質が酸化状態の細胞では水色に、還元状態では赤色に変化した。
阪井教授はヒトの細胞でも同様の効果が期待できるとした上で、「異常な状態の細胞をより簡単に見つけることができる。さらに研究を進め、病気の新たな治療法につなげたい」としている。病気の有無の判断や治療法が簡単になりそうですね。是非ヒトの細胞で試して実用化に向けて研究を進めて下さい。

2010年5月25日火曜日

Mohawk

筋肉と骨を結合して筋肉の力を骨に伝え、動きの要となっている腱(けん)が発達する際に重要な働きをする遺伝子をマウスで見つけたと、国立成育医療研究センターの浅原弘嗣システム発生・再生医学研究部長らが24日付米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
アキレス腱などの腱は、栄養を運ぶ血管が少なく再生力が非常に弱いため、断裂した場合の治療が難しい。こうしたけがの新しい治療法開発につながる可能性があるという。
浅原部長らは、筋肉など体の部位を作る際の司令塔の一つ「Mohawk」という遺伝子が、腱の細胞だけで働いていることに注目。この遺伝子を持たないマウスを遺伝子操作で作ったところ、腱が未成熟なマウスが生まれた。
このマウスは、コラーゲンを主成分とする腱のらせん状のひもが十分な太さに発達せず、引っ張りに対する強度は通常のマウスの約半分しかなかった。治療法の確立までにはかなりの年数が掛かるのかもしれませんが実用化に向けて研究を進めて欲しいですね。

2010年5月24日月曜日

節水器具「エコ」

夏場になると、企業や公共施設でいつにも増して「節水」の文字を目にするようになる。しかし、暑くなれば水の使用量は跳ね上がる。通常の水道設備のままでは「節水」は難しく、水資源の保護もかけ声倒れに終わりがちだ。
水道用節水器具専門のベンチャー企業で、富山県射水市に本社を置く「クリア」が開発した節水器具「エコ」は、直径1センチほどのステンレスの中央部分に3つの水流孔が開いており、この器具を蛇口の根元にはめ込むだけで節水が可能になる。水の通り道を小さく絞り込むことで水量を抑えるという単純な仕組みだが、器具の品質や水圧によって従来と変わらない使用感を実現するなど、微妙な調整を可能にした技術力が同社の強みだ。
具体的には、水の流入面から流出面に向けて加工した3つの流路孔が、本体部の軸の中心に対して流出面の方を末広がりに配置したため、水の乱流や異音の発生を抑えたことで、使用者に違和感を与えない。また、本体部の流出側に円柱状の段差部を作ることで空間を確保し、流水が末広がりに噴出して振動も抑制するなど、小さなステンレス器具の中に、随所に独自技術によるきめ細かな工夫が施されている。3月31日に全校160カ所強の水道の蛇口に「エコ」を設置した石川県立金沢西高校の場合、4〜5月(実質使用日数36日間)の2カ月間の水道使用量は、過去3年間の同期間平均より18%少ない1103立方メートルだった。2カ月で242立方メートルが節水できた計算だ。本物は安心・安全・単純なものであるとも言われますがまさにそれにふさわしい商品といった感じですね。詳しい内容等知りたい方は下のサイトにアクセスして確認して下さい。
http://www.clear-eco.jp/eco1.html

トマトリーナ

三菱樹脂グループで農業資材を手がけるMKVドリーム(東京都中央区)は、苗を栽培する植物工場と既存の養液栽培を組み合わせたトマト栽培法「トマトリーナ」による生産・販売を平成23年度から本格的に始める。通常の土耕栽培に比べ、1・5倍から2倍の収穫量が可能。年間を通して計画的な収穫が期待できるのも特徴で、農業ビジネスの支援を目指す。
MKVドリームによると現在、国内のトマト生産は10アール当たりの収穫量が20トン程度にとどまり、トマト生産者は後継者不足や販売単価の低迷、病害虫発生などによる課題を抱えているという。
「トマトリーナ」と名付けられたトマト栽培法は、兵庫県や野菜茶業研究所の研究する「トマト1段密植養液栽培法」を高度化し、大量の苗を高密度で定植するもの。上の葉を持ち上げて果実と下の葉への太陽光を確保する独自の整葉法とMKVドリームの育苗工場である「苗テラス」を組み合わせた。
「苗テラス」は千葉大と共同開発した人工光閉鎖型苗生産装置で、より均質な無病苗を計画的かつ大量に供給。その苗をビニールハウスに移し、通常の栽培方法の4倍程度の密植と年4回転の多作化ができるという。コンピューターによる養液管理といった最新技術を取り入れるなど、MKVドリームの荻原勝年社長は「簡単に取り組める高度な野菜栽培技術だ」と説明する。気候等に左右されないこういう農法が今後注目を浴びていくのでしょうね。出来るだけ初期投資を少なくして多くの農家が扱えるようなシステムにして欲しいですね。

次世代の光記録材料として注目

光を当てるだけで、電気を通しやすい状態と通しにくい状態を行ったり来たりする金属酸化物を、大越慎一・東京大教授(物性化学)らのチームが発見した。光を使って情報を記録するDVDやブルーレイディスクの材料に比べ、格安で大量生産でき、記録密度もはるかに高いという。次世代の光記録材料として注目されそうだ。23日付の科学誌「ネイチャー・ケミストリー」(電子版)に掲載された。
大越教授らは、おしろいの原料や光触媒として広く使われている酸化チタン類に着目。チタン原子3個と酸素原子5個が結合した「五酸化三チタン」のナノ結晶(粒径8~20ナノメートル、ナノは10億分の1)を作り、性質を調べた。この結晶は、電気を通しやすい黒色の粒子で、紫外線‐近赤外線に相当する波長のレーザー光を当てたところ、結晶構造が変化し、電気を通しにくい半導体的な性質に変わった。その逆の変化が起きることも確かめた。最も一般的な「二酸化チタン」のナノ粒子を、炉内に水素を吹き込みながら加熱することで、この結晶を簡単に作る方法も開発した。
DVDやブルーレイディスクには、ゲルマニウムなどレアメタル(希少金属)の合金が使われている。今回発見した金属酸化物は、価格が約100分の1で安全性も高い。光記録材料として使えば、ほぼ同じ強さの光でブルーレイディスクの約200倍の情報を記録できるという。資源のない日本にとって価格的にも安く安定している酸化チタンが利用出来るという事はすばらしい事ですね。そして情報量も200倍となれば尚良い事ですね。具体的な実用化に向けて研究を進めて欲しいですね。

2010年5月23日日曜日

洋上風力発電システムの実証研究

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構と東京電力は19日、国内初となる沖合での洋上風力発電システムの実証研究を6月から共同実施すると発表した。
千葉県銚子市の南沖合約3キロ・メートルの地点(水深約11メートル)に出力2000キロ・ワット以上の風車(高さ120〜130メートル)を1基設置し、台風や地震などに耐える設計や保守管理の手法を研究する。期間は2013年度までで、事業規模は約33億円。
洋上での風力発電は、強い風力を安定して確保できるほか、景観を損なう恐れが少ないが、国内では設置に適した遠浅の海岸が少なく、研究が遅れていた。英国は2020年までに、北海沖合などに超大型の風車3000基を設置する計画で、エネルギー政策の中心に据えている。四方を海に囲まれた日本ですから遠浅というような条件が付くのでしょうが次世代のエネルギーとして是非積極的に取り組んで欲しいですね。

2010年5月21日金曜日

打ち上げ成功

宇宙航空研究開発機構(JAXA)などは21日夕までに、国産大型ロケット「H2A」17号機に相乗りした小型衛星5基のうち、宇宙ヨット実証機「イカロス」など4基が予定軌道に入ったことを確認した。
イカロスは同日午後5時過ぎ、金星に向かう軌道に入ったことを示す電波が地上に届いた。イカロスは樹脂膜を帆のように広げ、太陽光のわずかな圧力を受けて進む新技術の実証機で、JAXAが開発した。
東大などの共同事業体が開発した「UNITEC−1」も予定軌道に入り、金星へ向かった。
大学が開発した小型衛星は創価大の「Negai☆”」、鹿児島大の大気水蒸気観測衛星「ハヤト」が、それぞれ地球を周回する予定軌道に入った。早稲田大の「WASEDA−SAT2」は地球周回軌道に投入されたものの、詳細の確認は22日未明にずれ込む見込み。
一方、金星探査機「あかつき」は21日夕、太陽電池パネルの展開に成功するなど、正常に機能していることが確認された。それぞれの衛星が順調に運行されているようですから打ち上げは成功と言って良いんでしょうね。

超々ジュラルミン並みの強度をもつマグネシウム合金

航空機などに使われている超々ジュラルミン(アルミ合金)と同等の強度で、重さはアルミ合金の約3分の2というマグネシウム合金の開発に、熊本大の河村能人教授らの研究チームが成功した。自動車や航空機の部品として利用することで車体・機体の大幅な軽量化と低燃費化を実現することが期待される成果で、研究チームは2〜3年後の実用化を目指すとしている。
マグネシウムはアルミニウムより軽い金属で、合金としてすでに自動車部品などでの利用が進められているが、強度の確保が課題だった。
河村教授らはマグネシウムに「遷移金属」と「希土類金属」を各1種類、数%ずつ加えることで強度を高める方法をすでに開発していたが、今回はそれらの中でニッケルとイットリウムの組み合わせで強度が一番高まることを発見した。さらにそれぞれの金属の割合や加工温度などを調節し、超々ジュラルミン並みの強度をもつマグネシウム合金を実現。製造方法は特殊なものではないため、量産化も可能という。
すでに関連特許を出願中で、河村教授は「日本発の新材料として、世界的な評価を確立していきたい」と話している。航空機などの軽量化が進み省エネなどのも貢献できそうですね。

2010年5月20日木曜日

世界最大のフィルム型プラズマディスプレー

200インチ(縦4メートル、横3メートル)と世界最大のフィルム型プラズマディスプレーが、関西空港旅客ターミナルビル・出国エリアに設置された。
神戸市のベンチャー企業が半年かけて開発したもので、消費電力も家庭用ドライヤー並みの2000ワットですむという。関係者は「関西の技術力を世界にアピールしたい」としている。
開発したのは、富士通出身の篠田傳(つたえ)社長が2005年に設立した「篠田プラズマ」。
「SHiPLA(シプラ)」と名付けた厚さ1ミリの極薄ディスプレーは、赤、青、緑に発色する直径1ミリのガラスチューブを並べて映像を表示する方法を採用。重量や消費電力は従来の2〜3割といい、ディスプレーは自由に折り曲げることができる。
これまでは、同社が兵庫県明石市立天文科学館に設置した145インチ(縦2メートル、横3メートル)が最も大きかったが、出国エリア改装の“目玉”にと、昨夏、関空会社から注文を受けて200インチの開発に着手した。
篠田社長によると、映像を表示する回路の改良などに苦労したが、開発期間中に開催されたバンクーバー冬季五輪の日本選手の活躍を励みにして、社員70人が一丸となって「世界一」を目指したという。
上下部分にわん曲したディスプレーには、関西の観光地や文化などを紹介する映像が映し出され、外国人観光客らが興味深そうに見入っている。
篠田社長は「日本を代表する場所に設置できてうれしい。世界のどこにもまねの出来ない技術が、関西にあることを知ってもらえれば」と話した。技術立国日本の面目躍如といった感じですね。多くの企業がマナのできない技術による「もの作り」で日本を元気にして欲しいですね。

歯茎の組織から新型万能細胞

大阪大の研究倫理審査委員会は19日、歯周病やインプラント(人工歯根)の治療、抜歯の際に切り取った歯茎の組織から新型万能細胞(iPS細胞)をつくる同大大学院歯学研究科の江草宏助教らの研究を承認したと発表した。
切除した歯茎の組織は捨てられていたといい、江草助教は「患者の負担を最小限にiPS細胞ができれば、再生医療に大きな貢献をできる」としている。人での成功例の報告はないが、マウスでは皮膚の細胞から作製するよりも7〜10倍効率良くつくれるという。
江草助教によると、同大歯学部病院を受診した患者に同意を得た上、歯茎の組織から細胞を分離して培養。iPS細胞を開発した京都大の山中伸弥教授の技術を使い、この細胞からiPS細胞をつくり、マウスに移植して万能性を確認、あごの骨の再生医療などにつなげたいとしている。従来捨てていたものを活用するわけですから患者さんの負担にもならず、そこから万能細胞が出来ればこれにこした事はないと思います。是非研究を進めて欲しいですね。

2010年5月19日水曜日

放射線検出器の低価格化

ペットボトルの原料に使われるプラスチックを放射線計測装置の心臓部である「シンチレータ」という部品に利用し、高い感度で計測することに成功したと、放射線医学総合研究所(千葉市)の中村秀仁研究員らが19日付英国王立協会紀要電子版に発表した。
放射線の計測は、放射線を受けてシンチレータが発した光を、光電子増倍管と呼ばれるセンサーでとらえる。ペットボトル用のプラスチックは安価なため、がん診断に使われる陽電子放射断層撮影装置(PET)など、さまざまな放射線検出器の低価格化につながる可能性があるという。
研究グループは、身の回りのいろいろなプラスチック製品に放射線を当てて実験。ペットボトルの切片で、わずかに放射線を検出できることに注目した。主成分の「ポリエチレンテレフタレート」というプラスチックの一種を厚さ5ミリの板状にしたところ、極めて高い感度で検出できた。是非実用化に向けて研究を進めて欲しいですね。

2010年5月18日火曜日

2030年に向けての蓄電池戦略

経済産業省は17日、太陽光で発電した電気をためておく蓄電池を住宅やオフィスビルに普及させるため、2030年までに寿命を現在の4倍の20年に延ばし、製造コストを10%程度に引き下げる戦略目標を明らかにした。
官民一体で研究開発体制を作り、規格の国際標準化を目指す。政府が6月にまとめる新成長戦略に盛り込む。
政府は温暖化対策のため、今後10年で太陽光による発電量を現在の約20倍となる年2800万キロ・ワットにする計画だ。しかし、太陽光で発電できない夜間や悪天候時にも電力を安定供給するためには、住宅やビル、変電所などに蓄電池の設置が欠かせない。
蓄電池は携帯電話やパソコン、電気自動車などに使われているニッケル水素電池やリチウムイオン電池が知られているが、小型化と大容量化をさらに進める必要がある。
住宅用では、三洋ホームズが昨年に国土交通省の補助を受けて蓄電池が付いた住宅の販売を始めているが、1戸あたりの価格は240万円程度高い。積水ハウスと大阪ガスも共同で太陽電池と燃料電池で発電し、蓄電池で電気をためる住宅の実証実験を行っているが、本格普及はまだ先だ。研究開発では、リチウム以外の新素材による技術革新や、原材料のレアメタル(希少金属)の安定確保にも取り組む。
蓄電池の用途は今後多岐に渡り重要性はますます向上していくと思いますから小型化・大容量化は大きな課題でしょうね。是非世界をリードする蓄電池の開発を進めて欲しいですね。

2010年5月16日日曜日

金星探査機「あかつき」

宇宙航空研究開発機構が開発した日本初の金星探査機「あかつき」が18日早朝、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられる。
日本の惑星探査機は、2003年に火星軌道への投入が失敗しており、あかつきが成功すれば史上初めて。金星は、地表の温度が約460度に達し、上空では秒速100メートルの暴風が吹き続ける。その謎の解明に挑む世界初の「金星版気象衛星」として、海外からも注目されている。
上空の暴風は「スーパーローテーション」(超回転)と呼ばれ、その風速は自転速度の60倍にもなる。なぜ地面との摩擦で減速せず、高速を維持できるのかが大きな謎だ。また、大気の96%は温室効果ガスの二酸化炭素で、それが高温を引き起こしている。しかし、大気の成分が、大きさの似た地球とまったく違っている理由はわかっていない。
これらがわかれば、地球が現在のような穏やかな大気の状態になれた原因を解明する手がかりにもなる。
あかつきは、今年12月に金星へ到着し、赤外線や紫外線など様々な種類の光を使って、金星大気の全容に迫る。気温や雲の動き、大気の成分などを、地表付近から高度90キロ・メートルを超える上空まで高さごとに調べる。
あかつきを運ぶH2Aロケットには、世界初の宇宙ヨット「イカロス」も相乗りする。14メートル四方の帆に太陽からの光を受け、そのエネルギーでヨットのように航行する。宇宙機構は、将来の探査機への活用を目指している。打ち上げに成功する事を祈っています。そして「イカロス」が宇宙空間で大きく帆を広げて運行される姿を楽しみにしたいですね。火星に到達するのに半年は掛かると聞いています。無事に火星に到達すると良いですね。

2010年5月15日土曜日

G1TOWER

高さ世界一のエレベーター研究塔が茨城県ひたちなか市の日立製作所水戸事業所に完成し、15日、報道陣に公開された。
研究塔は高さ213メートルで地上9階、地下1階建て。これまで世界一だった韓国メーカーの研究塔の205メートルを抜いた。名称は「G1TOWER(ジーワンタワー)」で、「世界一」を意味する「グローバルナンバーワン」から名付けられた。
同社はこれまで同じ敷地内にある高さ90メートルの研究塔で実験を行ってきた。近年、世界的に建造物の高層、大規模化が進み、高速で大容量のエレベーターの需要増に対応するため、2年前に新たな研究塔の建設に着手。総工費約60億円をかけ4月に完成した。
研究塔では、開発中の時速約65キロの世界最高速エレベーターや積載重量5トンで70人が乗れる世界最大級のエレベーターなどについて安全性や乗り心地などを確かめ、実用化を目指す。世界一というのは何にしても良いですね。世界最大級のエレベーターを実用化させてほしいですね。何よりも安全性基準を世界一にして欲しいです。

2010年5月14日金曜日

内耳の有毛細胞

音や体の傾きを感知する内耳の有毛細胞を、マウスのiPS細胞(新型万能細胞)から作ることに、米スタンフォード大学の大島一男講師らが世界で初めて成功した。
今後ヒトでも実現すれば人工内耳にかわる新しい難聴の治療法開発に道を開きそうだ。14日の米科学誌「セル」に発表する。
大島講師らは、マウスの皮膚から作ったiPS細胞に神経を成長させる化学物質や、ニワトリの内耳のたんぱく質を加えて培養すると精巧な毛を持つ細胞ができていることを顕微鏡で確認した。この細胞を刺激すると、有毛細胞とそっくりな電気信号を出していた。
ヒトの内耳には、有毛細胞が約1万個、ピアノの鍵盤のように整然と並び、様々な高さの音を電気信号に変換している。この信号が脳に伝わることで音を聞き分けるが、この細胞が機能しないと難聴になる。有毛細胞の機能を約20個の電極で代用する人工内耳は、雑音があると聞き取りにくくなる限界がある。まだまだ人間の有毛細胞から比べることもできないような段階での成功ですが難聴に苦しむ方々の希望の光(音)になってほしいですね。

納豆菌のゲノム

慶応大先端生命科学研究所は13日、納豆菌のゲノム(全遺伝情報)を世界で初めて解読したと発表した。
環境分野や医療分野に応用できる可能性があり、おむつや化粧品などの改良が期待できるという。
納豆菌は納豆作りに必要な細菌。ゆでた大豆にふりかけて発酵させることで納豆ができる。また、納豆のネバネバした成分を粉末にしたものは保水力が非常に高く、砂漠の緑化などに利用されているという。
同研究所の板谷光泰教授(分子生物学)が、慶応大理工学部などと共同で約2か月かけて納豆菌を分析。納豆菌に含まれる約4000の遺伝子のうち、納豆を作るのに最低限必要な十数個がゲノムに存在することを確認した。
研究の成果は性質の似たほかの菌のゲノム分析に役立つほか、納豆の持つ保水力を上げ、おむつの吸水性や化粧品の保湿能力の向上などに役立つ可能性があるという。
板谷教授は「納豆は日本人の心を打つ特別な存在。いつかは納豆菌のゲノムを解析したいという思いがあったが、実験環境が整い、実現できてうれしい」と話した。環境や医療分野で何らかの形で応用できると尚良いですね。

2010年5月11日火曜日

泥炭で生ごみを堆肥化

札幌市は、北海道内に広く分布する泥炭を使い、家庭から出る生ゴミを堆肥にする大規模な社会実験に乗り出す。
対象は全89万世帯のうちの1万世帯。泥炭は生ゴミを分解する微生物が好む通気性と保水性に富み、同市は「泥炭は近郊に豊富にあり調達しやすい。実験が成功すれば、ゴミの減量化を一気に進めることができる」と意気込む。
同市は昨年7月から家庭ゴミを有料化し、焼却処理していたプラスチック類や紙ゴミの資源回収を開始した結果、今年度の可燃ゴミは2008年度に比べて10万トン減の約47万トンと見込まれる。しかし、生ゴミは減量化が進まず、可燃ゴミの約半分を占めている。
生ゴミの堆肥化は全国で取り組まれているが、屋外に設置するコンポスターだと、1年の半分が雪で覆われる札幌では凍ってしまい、堆肥化が進まないという問題があった。
そのため、市内では10年前から室内で堆肥化する、手軽な段ボール式の研究が進められてきた。厚手の段ボール箱に乾燥させた泥炭と炭化させたもみ殻(もみ殻くん炭)を混ぜて敷き、生ごみを入れて1日1回よく混ぜる。微生物が、泥炭の炭素と生ゴミの窒素をエサに活発に働いて生ゴミを分解し、ミミズや虫の発生も少ないことが分かった。
10年前から泥炭を使った堆肥づくりをしている同市北区の主婦は「1箱で3か月分にあたる30~40キロの生ゴミを処理でき、魚の骨も細かく砕けば大丈夫。生ゴミを出さないよう、無駄な買い物や作り過ぎをしなくなりました」と語る。
研究結果を受け、同市は6月頃から市内40か所以上、計1万世帯を対象にセミナーを開き、受講者に乾燥泥炭ともみ殻くん炭を無料で配り、削減効果や課題などを報告してもらう。結果を見ながら、対象世帯を増やせるか検証する。同市内で出される生ゴミの3割が食べ残しや消費期限切れ食品で、市環境局は「食生活の見直しにつながるなど目に見えない効果もあるはず」と期待している。まとめて処理するより各家庭で処理でき、それが堆肥となればまさに循環型社会が出来上がっていきそうですね。実証実験を通じて良い結果が出て市全域に広がっていくことを期待したいですね。

2010年5月10日月曜日

新しい自給システム

太陽光発電で得たエネルギーを水素に置き換え、新型の燃料電池を利用して効率的に電気や給湯用の熱を生み出す新しい自給システムを、同志社大の千田二郎教授の研究チームが開発し、本格実験に乗り出した。こうしたシステムの開発は全国初といい、当面は家庭で使用するエネルギーの15%前後の自給率を想定しているが、同チームは「今後、燃料電池の開発が進めば100%のエネルギー自給も可能」としている。
エコへの関心の高まりとともに太陽光発電も広がりつつあるが、共働き世帯など昼間に家族が外出する家庭では、太陽光パネルを設置してもバッテリーの設置費用などがネックとなり、効率的なエネルギー自給が難しい現状にあるという。
同チームが開発したシステムでは、太陽光パネルで集めた電気エネルギーを、水道水を使って電気分解装置で水素に置き換え、ボンベに貯蔵。給湯や電気を必要とする際に都市ガスと混合させ、現在メーカーが開発中の個体酸化物型燃料電池(SOFC)で電気、熱エネルギーに変換する。
実験は、京都府京田辺市にある同志社大エネルギー変換研究センター屋上の約20平方メートルで実施。住宅用太陽光パネルなどを使った小型システムで、約半年間データを集めるという。
日照時間などを考慮すると、小型システムで、4人家族の家庭が1日平均で消費する給湯用などの熱と電気双方の15%程度にあたる1時間あたり2.8キロワットを自給できるとしている。バッテリーの設置などの経費も掛からず安価で環境に優しいシステムといった感じでしょうかね。早く実用化してほしいですね。そして安く抑えてくれればかなり普及するのではないでしょうかね。将来は各家庭でエネルギーを自給自足する時代が到来するかもしれませんね。

2010年5月9日日曜日

バチルス・セレナトアルセナティス

レアメタル(希少金属)は今やITやハイテク産業に欠かせない金属だが、需要の高まりとともに獲得競争は激しくなり、価格も軒並み上がっている。一方でこれらの産業にとって、廃水に含まれるレアメタルは悩みの種。高濃度では毒にもなるため処理が必要だがコストが高い。そんな中、「廃水を安価に浄化しながら、レアメタルを回収する」という一挙両得な研究に注目が集まっている。“救世主”は、土の中にいる微生物。
「地球はバランスの世界で、その世界の底辺にいるのが微生物。自然の中で動物の排泄(はいせつ)物がなくなるのは、微生物が分解してくれるから。本当の循環型社会をつくるには“彼ら”の力を使う必要がある」
こう力説するのは、大阪大大学院工学研究科の池道彦教授(環境工学)。微生物の分解能力を利用した廃水からのレアメタル抽出の研究を続けている。
もともとの研究のきっかけは、ハイテク産業などから排出されるレアメタルが環境を悪化させ、環境省により排出基準が定められたためだった。レアメタルの価格の高騰もあり、リサイクルも兼ねる研究は、最近になって俄然(がぜん)注目を集めている。
池教授は約10年前、研究段階として、微生物を使ってレアメタル「セレン」を廃水から分離することに成功した。セレンは半導体やガラスの着色などに使われる金属。廃水中では水に溶けているため、通常は電気還元して集めなければならないが、多大なエネルギーとコストがかかる。
微生物が電気還元の代わりになってくれたら…。池教授らの研究グループは微生物の中から、呼吸とともにセレンを取り込む微生物を探し出した。「バチルス・セレナトアルセナティス」と名付けられ、新種として世界で認められた。
廃水中のセレンは「セレン酸」という酸化物イオンの形で溶けているが、この微生物は、セレンに付いた酸素を使って呼吸することで、セレンを元素状態に戻してくれる。セレンは濾過(ろか)でも水中から回収できるし、微生物の体内にも残っているので燃やして回収することもできる。
微生物の環境技術への利用は理想的だ。微生物はお金がかからないし、自分勝手に増えるばかりでなく、有害な副産物を出すこともない。池教授らは現在、太陽電池に使われるレアメタル「テルル」や「バナジウム」などにも研究の範囲を広げている。
セレンの価格は数年前まで1キロ500円程度だったが、今は1万円にまで上がっている。実用化には、今後、さらに高い温度や塩濃度にも耐えられる微生物を見つける必要があるというが、すでに化合物メーカー「新興化学工業」(兵庫県尼崎市)の協力を得て、回収実験に成功。実用化に向けて一歩踏み出した。多くのレアメタルを微生物を活用して回収できるようになるといいですね。資源のない日本にとって如何にリサイクルして使いつづけるかが課題でしょうから是非実用化に向けて頑張ってほしいですね。

2010年5月7日金曜日

毎秒1ギガビットを超える無線LAN

NTTは7日、世界で初めて毎秒1ギガビット(1ギガは10億)を超える無線LAN(構内通信網)の通信技術の開発に成功した、と発表した。最新の無線LANの通信技術(毎秒で最大100メガビット)に比べて10倍速いほか、固定通信である光ファイバー並みの速さを実現した形だ。
NTTは今回の新技術を、米国の通信規格標準化団体「IEEE(アイトリプルイー)802委員会」で、2012年末までに決定される無線LANの次世代の国際標準規格として採用を働きかける方針。同社などが提案した無線LAN技術は1999年に「IEEE802.11a」として採用された実績があり、その延長線の技術としてアピールする。
今回、実験に成功した無線LANの通信技術は、1つの基地局当たりで毎秒最大約1・62ギガビットの通信速度を出すことに成功。通信速度が落ちにくいのが特徴という。NTT未来ねっと研究所(神奈川県横須賀市)が2008年から研究を進めてきた。
NTTは今後、パソコンや携帯電話、ゲーム機だけでなく、薄型テレビなどの家電までが「あらゆるネットワークにつながっていく」と想定。大量のデータ通信量が必要と見込まれるインターネットテレビなどの普及が進むにつれ、無線LANの高速化需要は高まるとして、新技術の実用化を目指す考えだ。次世代の国際標準規格として採用されるといいですね。様々な用途においても高速化は願われるでしょうから是非実用化してほしいですね。

深宇宙探査機UNITEC―1

愛知工科大学(蒲郡市西迫町)が全国の20大学・高専と共同開発した小型衛星「深宇宙探査機UNITEC―1」が18日早朝、鹿児島県の種子島宇宙センターから宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「あかつき」に搭載されて打ち上げられる。同大では、小型衛星からの電波をキャッチしようと、アンテナと受信機を学内に開設した。同大は当日午前6時過ぎから、ホール棟3階に設置する大型スクリーンで、打ち上げ映像を一般公開する。
小型衛星は特殊ジュラルミン製の立方体(35センチ四方、約25キロ)で、進行方向を制御するガイドポールが付いている。18日にH―2Aロケットで打ち上げられる「あかつき」から途中で切り離された後、単独で今年12月に地球から約6300万キロ離れた金星付近まで接近。宇宙空間の撮影や放射線の測定、宇宙からの微弱電波の受信などの実験を行う予定。
同大では、今年3月末に研究棟屋上に直径2・3メートルのアンテナを設置。小型衛星から送られる電波をアンテナでとらえ、研究室の受信装置でデータを解析する。
小型衛星の本体部分の設計を担当した奥山圭一教授(宇宙工学)は「小型衛星はゆっくり回転しながら飛行する。うまく星の映像をとらえることができれば」と話している。打ち上げに成功して金星付近まで順調に飛行し多くのデータを送ってくるといいですね。

2010年5月5日水曜日

超高速充電システム

JFEエンジニアリングは今年度中に電気自動車(EV)用の超高速充電システムを発売する。電池容量の50%を充電するのにかかる時間は3分と現行の約5分の1で、ガソリンの給油時間並みに短くできる。ガソリンスタンドなどへの設置費用も4割安い600万円に抑える。作業時間の短縮と充電場所の拡充で消費者の利便性が高まれば、EV普及に弾みがつきそうだ。
ガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどへの設置を想定し、2015年度に年150億円の受注を目指す。新システムは料金が昼間の3分の1程度の夜間電力をいったん大容量の蓄電池に蓄え、特殊なリチウムイオン電池を経由して電気自動車に電力を補充する。
従来よりも5倍強い電流を放出できる特殊電池を電池の試験会社の協力で開発し、充電時間の短縮を可能にした。既存の充電器は放出できる電流の強さが限られていた。大きさは通常のガソリン給油機と同程度にする。
現在主流の急速充電器は充電時間を短縮するために、通常オフィスや店舗で使う設備より容量の大きな受電設備が必要になる。ガソリンスタンドなどで照明や空調といった設備も同時に動かすのに受電容量設備の増強が必要となり、1000万円程度の設置費用がかかっていた。
今回の製品は一般的な店舗で使う受電容量で動くため、電力の基本料金を変える必要がない。ガソリンスタンドなどは電気代を年90万円程度節約できるという。
ただ超高速充電するには、EV側の制御ソフトなどを変更する必要があるため、現行の三菱自動車などのEVに使った場合は、充電時間はこれまでと変わらないという。JFEエンジは新システムの普及に向け、国内外の自動車メーカーなどに連携を働きかける考えだ。充電時間の短縮化がEV普及の大きな鍵を握っているでしょうから現行の給油と同程度の時間で充電でき設備費も掛からないとなるといいですね。メーカーに枠を越えて充電システムを統一する必要もあるかもしれませんね。

圧縮空気だけで動くエンジンを開発

広島市西区の山陽高機械科の教諭と生徒たちが、ガソリンなどの燃料を使わず、圧縮空気だけで動くエンジンを開発した。5~7日にブラジルのリオデジャネイロである国際的な学術団体「アメリカ自動車技術会(SAE)」の学会で発表する。
自動車メーカーでエンジン開発に携わった経験がある杉田教諭と、宮下君たち機械科3年生10人が取り組んだ。ダイビング用ボンベから圧縮空気を送り込み、ピストンを動かす。通常は卵形のカムシャフトの形を、楕円(だえん)に近い形にするなどし、圧縮空気を取り込む吸気バルブと、外へ逃がす排気バルブの開閉のタイミングを制御する。
開発は、宮下君たちが1年生だった2008年4月にスタート。原油高を受け、新入生対象の研修の中で「ガソリンを使わず、エンジンを動かそう」と生徒が発案。空気でタイヤを回すおもちゃがヒントとなり、開発に取り組むことにした。昨年6月には完成したエンジンをゴーカートに搭載した実車テストで時速15キロを出した。
杉田教諭は「太陽光発電などでコンプレッサーを動かし空気を送れば、スピードや走行距離の向上も可能」。宮下君は「メーカーが注目し実用化につながれば」と話している。夢が現実の形となって実現するといいですね。環境にも優しいエンジンですからメーカーが注目して実用化に向けて共同で研究が進むといいですね。

2010年5月4日火曜日

光ファイバー網でつないだ遠隔医療システム

道内の医師不足対策の一環として、12の医療機関を光ファイバー網でつないだ遠隔医療システムが、本格的に稼働した。情報通信技術によって医師不足を補うとともに、専門医の支援で地域病院の医師を技術、精神の両面から支える試みだ。
道は昨年度、遠隔医療に16年間取り組んできた旭川医科大の吉田晃敏学長をリーダーに、同大学病院をはじめ、市立函館病院、北見赤十字病院、名寄市立総合病院など12医療機関で、遠隔医療を普及させるための協議会を設置、ネットワークを整備した。
各医療機関は、インターネット回線を使い、大学病院と地域病院、地域病院同士、大学病院と複数の地域病院といった組み合わせで、内科や眼科、救急医療などを対象に動画像、音声を伝達しあう。
先月28日には、旭川医科大学病院と留萌市立病院、羽幌町の道立羽幌病院を結び、実際に診察する様子が報道関係者に公開された。留萌市立病院の診察室では、パソコンモニターに、羽幌病院の診察室にいる医師と心臓疾患などを抱える60歳代の男性患者が映し出された。留萌側の医師が「胸部レントゲン写真を見せてください」「心電図を見せてください」などと指示を出し、診療を行った。患者は羽幌と留萌の医師の2人から診察を受けることができる。
留萌市立病院と道立羽幌病院間では、遠隔医療システムが救急医療にも活用され、例えば、羽幌で脳卒中患者が発生した場合、留萌側の専門医と一緒に患者の状態を見ながら、迅速に治療方針を立てることができるという。
28日の診察は、映像、音声ともにスムーズに伝達された。旭川医科大で遠隔医療システムの構築に携わる守屋潔特任教授によると「映像、音声の質の向上で、数年前からようやく実用にめどがついた」という。しかし、一般のインターネット回線を利用しているため、回線の込み具合で伝達に支障が出る恐れがある。このため、旭川医科大では、遠隔医療専用回線の設置を国に訴えている。医療用の専用回線が本当に必要ですね。医師にとっても患者にとっても心強いシステムの稼働が実現した感じですね。

黒いダイヤ

岐阜県高山市の奥飛騨温泉郷新平湯にある奥飛騨ガーデンホテル「焼岳」が、天然温泉を利用したチョウザメの養殖に成功し、世界三大珍味の一つとされる高級食材「キャビア(卵)」の特産化に力を入れている。
数年後には量産化のメドをつける方針で、石田清一社長は「キャビア料理を新たな奥飛騨の名物にしたい」と張り切っている。
温泉を活用する新たな食材を検討していた石田社長が2008年、業者から成魚を含む300匹を買い受け、近くのプールで養殖を始めた。チョウザメは水温が6度以下になると死ぬとされるため、源泉を使って水温を調整。現在は稚魚や成魚計7250匹を育てており、年内には稚魚6000匹を新たに購入する。
キャビアは“黒いダイヤ”と言われ、輸入品は塩漬けされているが、同ホテルでは卵巣から取り出したばかりの新鮮さが売り物。ミネラル分を含んだ塩水などで丹念に洗い、最後は昆布だしの氷水でしめると、粒々感とともに甘さが口いっぱいに広がる。
同ホテルは、京都の料亭から指導を受けながら、熱々のご飯に上にキャビアをたっぷり乗せた「キャビア茶漬け」(5000円)などを開発。淡泊な味わいの刺し身とキャビアを組み合わせたメニューも用意し、宿泊客らから好評という。
料理歴23年の新森俊洋総料理長は、「量産化が実現すれば、価格も安くできる。チョウザメとキャビアを使った魅力ある料理をさらに考案し、この地域の名物にしていきたい」と意気込んでいる。量産化を早く進めて安価なキャビアを提供してほしいですね。

ビームの発射方向を制御できる半導体レーザー

ビームの発射方向を制御できる半導体レーザーを、京都大大学院工学研究科の野田進教授(電子工学)と電子部品メーカー「ローム」(京都市)の研究チームが世界で初めて開発し、3日付(日本時間)の英科学誌「ネイチャー・フォトニクス」(電子版)に掲載された。
これまでの半導体レーザーはビームの方向が固定されており、外部に設置した反射鏡の角度を調節することでビームの方向を制御していた。ビームの方向を半導体内で制御できるレーザーの開発で、医療機器や音響機器などレーザーを使う機器の小型化や動作の高速化などに役立ちそうだ。
研究チームはまず、高い光の屈折率を持つ結晶などを使ってレーザーを増幅する装置を開発。同結晶内には反射鏡の役割を果たす「空気孔」があり、その間隔を広げたり狭めたりした結晶を重ねることで、光の屈折率の高低差を拡大させることに成功。さらに、空気孔の間隔などを制御することで最大30度の角度つけてレーザーを発射することができるようになった。様々な分野への応用が出来そうですね。世界初といわれるような研究開発をどんどん進めていってほしいですね。

2010年5月3日月曜日

「浮体式」洋上風力発電の実証試験

環境省は2012年度末にも、風車を海に浮かべて発電した電気を海底ケーブルで地上に送る「浮体式」洋上風力発電の実証試験を始める。浮体式は深い海域にも設置できるので、風車の土台を海底に固定する「着床式」に比べ導入可能な場所が5倍以上に増える。風力発電は騒音などの問題から地上設置が難しくなっている。洋上に増設して温暖化ガスの削減につなげる。
浮体式は着床式と異なり、水深が50メートルを超える海域に設置できる。発電能力は標準的な出力2000キロワット規模を想定。全長は100メートル以上、風車を海上に浮かせてチェーンで海底に固定する。発電した電気は海底ケーブルで地上の変電所に送る。14年度まで実験し、発電や送電の性能、耐久性、海洋生物への影響などを調べる。環境省は20億円を拠出する。
浮体式の建設や性能を評価する企業・大学を今月末にも募集する。ケーブルで地上に送電する研究は、住友電気工業と日立電線が折半出資する電力ケーブルメーカー、ジェイ・パワーシステムズ(東京・港)と海上技術安全研究所が実施する。
浮体式は各国が技術開発中。ノルウェーでは昨年9月に出力2300キロワットの設備を設置し、2年間の実験が始まった。戸田建設と京都大学などのチームは小規模設備での実験に成功している。
日本は国土が狭く、陸上での設置は場所の確保が難しい。近年は風力発電の騒音や低周波音による健康被害も指摘され始めた。このため、風力発電は洋上が注目されており、設置可能な海域が広い浮体式の技術開発が急務になっている。
島国日本にとって海洋上での様々な開発は日本の生き残っていく道の一つになるでしょうね。そんな一つとして洋上風力発電も重要でしょうね。多くの大学や企業が協力体制を組んで建設そして実証実験に取り組んで実用化に向けて頑張ってほしいですね。

過熱蒸気

健康被害が懸念されるアスベスト(石綿)を含んだ建築廃材を、高温の蒸気で無害化する新技術を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と戸田建設、大旺新洋(高知市)が共同で開発した。高温で溶かす既存の方法と比べ、処理温度を抑えられ、コストとエネルギーを大幅に節約できる。
開発チームは、「過熱蒸気」に注目。950度の水蒸気で石綿を無害な物質に化学変化させるのに成功した。処理後の廃材は砕き、セメントの材料として再利用する。
NEDOによると、石綿を含んだ廃材を無害化するには、1500度以上の高温で溶かす必要があるため、大半は熱処理されず埋め立てられる。
今回の技術では処理エネルギーは従来の約3分の1、コストは半分程度で、安全面でも優れるという。平成24年度の事業化を目指す。まだまだアスベストを含んだ廃材は多いんでしょうから従来の方法より大幅に節約できるのは良い事ではないでしょうかね。早く事業化して全国展開を進めてほしいですね。

2010年5月2日日曜日

傷付いた視神経を再生

視神経を再生させる仕組みを突き止めるとともに、傷付いた視神経を再生させることに、東京都神経科学総合研究所など日米の共同研究チームがマウスの実験で成功した。日本で最大の失明原因である緑内障など視神経の傷みが原因で視覚障害を起こす病気は多く、チームは「新たな治療・予防法の開発につながる」と期待する。米科学アカデミー紀要に発表した。
視神経は、網膜で受け取った視覚情報を、眼球から脳に伝える働きをしている。ヒトの場合、網膜表面に並んだ細胞体から長さ約7センチの視神経が約100万本、脳に向かってコード状に伸びている。
同研究所分子神経生物学研究部門の行方和彦研究員(分子生物学)と原田高幸部門長(眼科学)らは、神経細胞でしか働かないDock3(ドックスリー)というたんぱく質に着目。培養中のマウスの神経細胞に、このたんぱく質を作る遺伝子を導入すると、手のひら状の視神経の先端が活発に動き、伸びることを確認した。次に、このたんぱく質を作る遺伝子が、野生型マウスの約5倍強く働く遺伝子改変マウスを作成。眼球近くで視神経を傷付けたところ、野生型の視神経はほとんど再生しなかったのに対し、改変マウスでは大幅に再生した。
Dock3は、視神経の先端で細胞の骨格を作る仕組みに刺激を与え、再生を促すとみられる。同様のたんぱく質を作る遺伝子はヒトにもあり、原田さんは「視神経は一度傷付くと治療できないのが現状だが、傷んでも(根元部分の)眼球内の細胞体は一定期間、正常のまま保たれる。この間にDock3による遺伝子治療などで傷付いた部分を再生できれば、視覚機能を回復させることが可能だ」と話す。マウス段階での視神経の再生ですが人間の視神経に応用できればどれだけの方々の目に光を取り戻すことができるかと思うと是非臨床を経て実用化に向けて研究開発を進めてほしいですね。

2010年5月1日土曜日

つえなしで歩ける装置

目が見えない人の脳に、小型カメラで撮影した画像を送り、視力を回復させることに大阪大学の不二門尚(ふじかど・たかし)教授(感覚機能形成学)の研究グループが国内で初めて成功した。動く物の位置がわかるようになったという。効果と安全性を確かめ、3年以内にはつえなしで歩ける装置を作りたいという。
研究に参加したのは、網膜色素変性症の女性(72)。15年ほど前から網膜が損傷し始め、最近は明るさがぼんやりとしかわからないほどまで視力が低下した。
研究グループは、女性の左眼球の裏側に、7ミリ四方の電極チップを手術で埋め込んだ。外の世界の様子を額につけた小型カメラで撮影。画像処理装置を通してから、耳の後ろに埋め込んだ電力・画像データ受信装置に電波で画像を送り、電極が視神経を電気刺激して脳に伝える仕組みだ。
4月27日に行われた試験では、黒い幕の前に置かれた白いはし箱を研究者が動かすと、女性はその位置を手で追うことができた。女性は「はし箱が豆粒のような白い光として見えた。はし箱を動かすとその光がどこに動いたかわかった。いつか、家族の顔を再び見たい」と話している。
現在の電極で、パソコンの画面いっぱいに映し出されたアルファベットが区別できるまでの視力が期待できるという。
安全性と効果を見るため、年内に網膜色素変性症の患者5人に臨床研究をする予定。今後、さらに電極の数を増やして、より画像を鮮明にできるかどうか確かめる。不二門教授は「カメラや電源を小型化して持ち運べるようにし、つえなしで歩けるまでにしたい。長期的な安全性も確かめる」と話している。
網膜の異常で失明した人の根本治療は今のところない。米国やドイツでも網膜に直接電極を接触させ画像を送る研究が進むが、今回の方法は網膜を包む膜に電極を埋めるので安全性が高いという。
今回の方法で視力を回復できる可能性があるのは、網膜色素変性症や加齢黄斑(おうはん)変性症といった、網膜の異常が原因で失明した人。全国で18万8千人いる失明者のうち、約2割にあたる。視神経、脳の異常で失明した人には、効果が期待できない。
4万弱の方々が光を取り戻せたら凄いことではないでしょうかね。是非実用化に向けて更なる臨床研究を進めてほしいですね。

デオキシノジリマイシン(DNJ)

東北大大学院農学研究科と宮城県丸森町は、桑の葉に含まれる糖尿病やメタボリックシンドロームの予防効果がある成分の研究を進める協定を結んだ。
養蚕が盛んだった同町と共同で、健康食品の開発などに役立つ研究に取り組む。
同科の堀雅敏准教授によると、桑の葉には「デオキシノジリマイシン(DNJ)」と呼ばれる血糖値の上昇を抑える成分が含まれており、品種によって含有量が異なる。桑の葉を食べる蚕にはより高濃度のDNJが含まれており、含有量の高い桑を突きとめるとともに、蚕も調べることで、より高濃度のDNJを抽出し、健康食品などの開発に役立てる。
協定では、町内の農家らがボランティアで協力して、同町が養蚕を請け負い、代わりに同科が研究結果を提供する。同大の農場でも桑を栽培しているが、面積や技術に限りがあるため、栽培を同町に委託、研究材料を安定的に確保できる体制にした。今年度は、約800平方メートルの畑に56種類計168本の桑を栽培する。
同町では、かつて養蚕が盛んで、1946年に養蚕農家は約2000戸あったが、現在は10戸に減少した。繭細工やシルク和紙など付加価値の高い商品の開発を考えていた同町が桑の研究をしていた同科に持ちかけた。
堀准教授は「2、3年でDNJを多く含む桑を見つけたい」としている。佐藤一郎副町長は「研究結果を生かし、養蚕を新たな商品化につなげたい」と期待している。桑の葉茶なんてものも出ているようですから桑の葉には体に良い成分が含まれているようですから協力体制を組んで健康食品を商品化できるといいですね。

ヒトiPS細胞を創薬研究に活用

ヒトのiPS細胞(新型万能細胞)などを使って、C型肝炎を治療する効果的で副作用も少ない薬の組み合わせを見つけ出すことに、森口尚史・米ハーバード大学研究員らと東京医科歯科大学のグループが成功した。
ヒトiPS細胞を創薬研究に活用した初のケースとして注目される。成果は米国肝臓病学会誌で発表した。 難治性C型肝炎の治療ではインターフェロンとリバビリンの同時投与が一般的だが、インターフェロンには発熱やうつ症状、リバビリンには重い貧血などの副作用があった。
森口研究員らは既存の治療薬など10種類から2~3種類を選択。C型肝炎ウイルスに感染した肝臓の培養細胞に同時投与して薬の効果を調べる一方、ヒトiPS細胞から作った心筋や肝臓の細胞にも同様に加えて薬の副作用を調べた。
その結果、量を4分の1に減らしたインターフェロンと、高脂血症治療薬、臨床試験中の肝がんの新薬の計3種類を組み合わせて使うと、ウイルスは10%以下まで急減。iPS細胞由来の心筋の拍動や肝臓細胞へのダメージも少なかった。C型肝炎ウイルスが感染するのはヒトとチンパンジーだけなので、動物実験による研究が難しかった。iPS細胞の研究が副次的に多くの治療や研究につながっていく可能性は大きいですね。再生医療の確立のためにも、また他の治療法等の開発のためにもiPS細胞の研究を益々進めてほしいですね。