宇宙が誕生した137億年前の姿を日米欧共同で観測し、謎を解明しようという「アルマプロジェクト」が平成24年、南米チリで本格実施される。その 心臓部である電波望遠鏡のアンテナを三菱電機が受注し、中小企業80社の協力を得て兵庫県高砂市の協力工場で製造中だ。昨年の小惑星探査機「はやぶさ」の 帰還など宇宙開発への期待が膨らむ中で、日本の町工場が誇る金属加工や組み立て技術が世界最大の宇宙観測プロジェクトに挑む。
プロジェクトは、日米欧が共同で、パラボラアンテナ66台を並べた電波望遠鏡をアンデス山中にある砂漠地帯に設置する。このうち、日本が担当する16台を三菱電機が製造する。
三菱電機は平成17年から設計を開始し、1台当たりの設計図の数は、8千枚にも及んだ。1台100トンの重さの巨大アンテナを6千分の1度の角度で動か し、大阪市内に置いた一円玉を東京から判別できる精度が求められる。製造を指揮する同社通信機製作所(兵庫県尼崎市)の大島丈治・観測システム課長 は「気が遠くなった」と振り返る。
望遠鏡の設置場所は年間の気温差が60度、1日の気温差が15度ある過酷な条件だ。砂嵐を伴う強風や強い日射もアンテナにひずみを生じさせやすく、観測精度を落としかねない。
試算の結果、口径12メートルのアンテナ表面全体で完成時に許されるひずみ(凹凸の差)は、髪の毛の太さの4分の1程度という25マイクロメートル(1マイクロメートルは0・001ミリ)と判明した。
1枚(1メートル角)ずつ貼り付けるアルミ板の加工を請け負った中国地方の業者は、金属表面を磨きあげる技術で作り込み、貼り付け担当の関西のエンジニアリング業者は、アンテナ1台に1人の職人が丹念に調整しながら完成させる。
すでに4台を設置し、残る12台も製造が進んでいる。「中小の協力企業の力がなければ完成できない」(三菱電機の大島課長)プロジェクトで宇宙の謎解きに発揮される「日の丸技術」に大きな期待がかかる。日本のものづくりの技術によって宇宙誕生の謎が解き明かされる事を期待したいですね。
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